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<里浜写景>漁師の喜怒哀楽 照らす朝日

東日本大震災前の姿に戻った机浜番屋群。断崖のすぐ下の浜では、夜明け前から漁師の車の音が響いていた
机浜番屋群

 朝焼けが海のかなたを静かに染め始めた。水平線の上の薄い雲に明と暗の横じま模様が広がり、程なく朝日が昇ることを知らせる。漁を終えた漁師が港に戻る頃合いだろうか。
 険しい断崖が続く三陸のリアス式海岸。岩手県田野畑村の「机浜(つくえはま)番屋群」が、先人の築いた漁村の文化を今に伝えている。
 2006年、水産庁によって「未来に残したい漁業漁村歴史文化財百選」に選ばれたが、東日本大震災の津波で壊滅。4年後の15年に復元された。
 番屋はかつて漁師の職場兼宿泊所兼倉庫。「悪天候ならここで待機し、忙しければ寝泊まりして仕事していた」と「体験村・たのはたネットワーク」ガイドの平坂忠三さん(73)。
 山が海に迫り平地が極端に狭い机地区では、家や畑は浜から何キロも離れた高台にある。その不便さを補うための番屋は、結果的に人を津波から守った。それもまた先人の知恵だったのだろうか。
(文と写真 写真部・安保孝広)

<メモ>机浜番屋群では地元の漁師がガイド役。小型漁船に観光客らを乗せてリアス式海岸を巡る。さらに海産物を使った料理や海水を釜で炊く塩作りなどを通し、漁師の伝統的な暮らしを体験できる。連絡先は「体験村・たのはたネットワーク」0194(37)1211。


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2017年07月02日日曜日


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