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<市民のものづくり>個人の発想 3Dですぐ形に

風車の羽根を3Dプリンターで作る川嶋さん

 市民がものづくりに利用できる仙台市内の3カ所の施設を訪問。それぞれの空間や機材を生かして創作に取り組む利用者らを取材した。

◎FabLab SENDAI−FLAT(仙台市青葉区)

 熱で溶かされた樹脂が、糸のようにノズルから吹き出す。規則的に樹脂の層が積み重なり、立体になっていく様子を川嶋寛さん(66)=仙台市若林区=が見守る。
 青葉区のビル内にある「FabLab SENDAI−FLAT(ファブラボ・センダイ・フラット)」。川嶋さんが3Dプリンターで作っていたのは、独自の工夫を施した風力発電機の羽根。ミニチュア版の試作機だ。「ここがあるおかげで、開発のペースが上がった」と言う。
 空調関係の企業などで長く技術者として働き、2013年に退職。風力発電の発電効率向上の研究に力を注ぐ。当初は模型制作などに使われる紙で試作していたが、精度も強度も不十分。良い方法を探し、3Dプリンターを備えるFLATを見つけた。

<データを持ち込み>
 「新しい発想が有効か、個人でもすぐに形にして実験・検証でき、ものづくりの垣根が低くなった。風力発電の効率は頭打ちと言われるが、実験を重ねると有望な方法が出てくるんです」
 FLATでは、以前は企業や大学の研究機関などにしかなかったデジタル工作機械を市民が利用できる。利用者は設計ソフトで作製したデザインデータを持ち込み、研究開発から趣味の小物作りまで、幅広く活用する。
 データをインターネット上で配布して、ものづくりの楽しさをシェアできないだろうか。東北工大4年の須田祐子さん(23)=青葉区=は、卒業制作に向けてそんな構想を温める。
 検討しているのは、板や布などの素材を切断できるレーザーカッターを活用して作るバッグ。同じデータを用いながら、作る人ごとの違いも生まれる仕掛けを考えているところだ。構想は、小物や雑貨を作りにFLATに通ううちに生まれたといい「スタッフや利用者にいろいろと意見ももらえて、発想が広がる。手作業でできること、できないことを組み合わせ、新しい物を作りたい」と話す。

<装飾品作りに活用>
 会場の装飾や友人たちへの贈り物のネームタグ、母へのメッセージをプリントしたハンカチ…。青葉区の歯科医モット有希子さん(33)は5月末、自身のウエディングパーティーを自作のアイテムで彩った。
 「海外の結婚式の写真を見てかわいいなと思っても、日本では売っていなかった」ため、自分で作ろうとFLATへ。布やプラスチックなどに印刷できるUVプリンターといった幾つもの機械を利用した。「データ作りは初めてで難しかったけれど、プロの使う機械を使って物を作るのが面白くて、通い詰めた」とモットさん。「また何か作り始めます」と声を弾ませた。

◎施設案内 information

 個人や小規模のグループのための、ものづくりの実験・実践工房とし2013年にオープン。デジタル、アナログの工作機械を備え、パソコンで作製したデータを持ち込むと、デジタル工作機械で形にすることができる。自分で作り、得られた知見は工房に還元するのが基本だ。FabLabは米国発祥の実験的な市民工房のネットワークで、Fabに「ものづくり」「素晴らしい」との意味が込められている。一般社団法人FLAT(仙台市)が運営。

<主な機械/道具/工具(料金)>
・3Dプリンター       500円 /1h
・レーザーカッター(2台) 1500円〜/1h
・デジタルミシン       500円 /1h
・UVプリンター      1500円 /1h
・工具類              会員は無料

<利用方法>
 工作機械の利用は各機械ごとに初回講習(各2500円)受講が必要。開催日時をウェブサイトで確認しメールで申し込む。初回講習受講後に会員証がもらえる。工作機械に使用する2D、3Dのソフトウエア講習(各2000円)や見学会(500円)もある。

<アクセス>
 仙台市青葉区一番町2の2の8 IKIビル4階▽水・金・土曜午前10時〜午後8時▽http://www.fablabsendai-flat.com▽022(797)5384。


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2017年07月06日木曜日


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