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<知事と政令市長>政策判断 ひずみに懸念

宮城県庁(右)と道路を挟んで隣り合う仙台市役所。市長選を舞台に両者の距離感が問われている

 宮城県知事選(10月5日告示、22日投開票)に先駆けて行われる仙台市長選(7月9日告示、23日投開票)で、県と政令市の距離が争点に浮上している。村井嘉浩知事は市政のトップ選びに積極関与し、地方自治の針路を共にする姿勢を鮮明にする。橋下徹氏を中心とする勢力が府市一体の行政運営を担い続ける大阪で、功罪の先行きを探った。(報道部・片桐大介)

◎大阪に見る一体化の功罪(下)県市融合

<都構想再び>
 大阪市を廃止し、複数の特別区に分割する「大阪都構想」が再浮上している。
 「来年秋に住民投票を行いたい」「スケジュールありきではないか」。大阪市役所で6月27日にあった松井一郎府知事と吉村洋文市長、市議や府議らで構成する法定協議会は、激しい火花が飛び交った。
 都構想は2015年5月の住民投票で反対票が上回ったが、松井知事と吉村市長は諦めていない。大阪維新の会の守島正市議は「要は自治体の事務分担の仕分け。交通インフラなど広域都市行政を『大阪都』に一元化する」と説明し、意義を強調する。
 橋下徹市長と松井知事が誕生した11年12月以降、都構想の議論と並行し、府市一体の事業が加速した。
 衛生研究所や公設試験研究機関の統合、府市の共同支出による高速道延伸、「うめきた」と呼ばれるJR大阪駅北側の再開発など、分野は多岐にわたる。
 親密な首長同士が戦略を一致させて政策を強力に推進した反面、ひずみを懸念する声も上がる。
 「都構想や行政一元化にこだわったため都市計画は進まず、住民福祉は後退した」。市民団体「大阪を知り・考える市民の会」の中野雅司代表世話人は、府市一体行政の現状を厳しく批判する。
 「官から民へ」は府市が進める行政の基軸だ。中野氏は水道の民営化方針など府市事業への競争原理の導入にも疑問を投げ掛け、「公共で担う部門を切り捨て、弱者が犠牲になる政治だ」と断じる。

<民間力求む>
 宮城県の村井嘉浩知事は仙台市長選(9日告示、23日投開票)で会社社長菅原裕典氏(57)を推す。気心の通じたトップ同士による県市連携、民間の経営感覚の導入を強く訴える。
 東日本大震災で村井県政が要に据える「創造的復興」。仙台東部道路と市中心部を結ぶ新たな自動車専用道「仙台東道路」の構想や、広域防災拠点整備に伴うJR仙台貨物ターミナル駅の移転実現には、市の協力が欠かせない。
 「官から民へ」は村井氏の政治信条でもある。6月の定例記者会見では「私は民間の力を活用し、税金を使わないように12年間頑張ってきた。同じようにしなければ(仙台市は)持たない」と市財政に言及した。
 県OBの一人は眉をひそめる。「知事は空洞化する郡部にこそ力を入れるべきだ。県と政令市は一定の緊張関係を保って刺激し合った方がいい」
 市長選の立候補予定者のうち、衆院議員郡和子氏(60)=比例東北=は「政令市は権限が大きい。県の介入はあってはならない」、元衆院議員林宙紀氏(39)も「密な協力は必要だが、言うべきことは言える関係が大切」とけん制する。
 村井氏は、出身地・大阪と相似形に映る県市の一体化を目指すのか。「仙台の発展が宮城、東北の発展につながる」。信念は固く、市政を組み込んだ政策加速への意欲をにじませる。


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2017年07月07日金曜日


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