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<知事と政令市長>透ける市政の抱え込み

村井、菅原両氏の2連ポスター(中央)と(上から左回りで)郡、大久保、林の3氏

 宮城県知事選(10月5日告示、22日投開票)に先駆けて行われる仙台市長選(7月9日告示、23日投開票)で、県と政令市の距離が争点に浮上している。村井嘉浩知事は市政のトップ選びに積極関与し、地方自治の針路を共にする姿勢を鮮明にする。橋下徹氏を中心とする勢力が府市一体の行政運営を担い続ける大阪で、功罪の先行きを探った。(報道部・片桐大介)

◎大阪に見る一体化の功罪(上)腹心の友

<頂点に君臨>
 「素晴らしい経営者だ。市政をさらに発展させるため、応援よろしくお願いします」
 3日夜、市長選に立候補を予定する会社社長菅原裕典氏(57)の総決起集会。青葉区のホテルに集まった1000人を超える支持者を前に、村井嘉浩知事が壇上から懸命に売り込んだ。
 村井氏は「一企業の経営者にしておくのはもったいない」として、長年の支援者で、指南役だった菅原氏に立候補を促した。市内各所に張り巡らした両氏の2連ポスターが、蜜月ぶりを物語る。
 一心同体の「腹心の友」を、県都の政令市に送り込む政治手法。2011年11月、当時の橋下徹大阪府知事が大阪維新の会幹事長だった松井一郎氏にポストを「禅譲」し、大阪市長選に名乗りを上げた構図をほうふつとさせる。
 大阪市を解体する「大阪都構想」を掲げた橋下氏は現職の平松邦夫氏に勝利し、ダブル選の府知事選も松井氏が初当選した。「盟友」と府市の実権掌握に成功、名実ともに大阪政界の頂点に君臨した。
 敵役となった平松氏は「うわべの派手さにメディアが飛びつき、維新ブームが起きた。橋下氏は白紙委任状を得たように振る舞い、少数意見を大切にしなかった」と振り返る。
 一方で、大阪維新の会市議団の辻淳子幹事長は「類いまれなリーダーシップでメディアを引き付け、有権者の賛同を得た。市民が府政と市政を真剣に考える機会をつくり、民主主義のレベル向上につなげた」と橋下氏の手腕を高く評価する。

<4選視野に>
 橋下氏は15年12月に市長を引退。維新の党衆院議員だった吉村洋文氏が市長職を継いだ。橋下氏は影響力をなお保ち、松井−吉村ラインで府政と市政を制する状況が続く。
 「松井知事が吉村市長を部下扱いしている。プロ野球のオーナーと雇われ監督みたい。市長は頭が上がらない」。自民党市議団の黒田當士(まさし)幹事長は両氏の上下関係を皮肉る。
 宮城県知事の村井氏は今年10月、4たび知事選に挑む。「仙台市の協力がないと、県政は運営できない」。総決起集会で村井氏は繰り返した。
 強い関係で結ばれた市長を誕生させ、4選を確実にする−。村井氏周辺が描くシナリオがちらつく。県政界の頂点に立つ知事が仙台市政のトップを抱え込もうとするやり方に、市長選の他陣営は警戒を強める。
 衆院議員郡和子氏(60)は「知事が候補者を指名するのはいかがなものか。悪乗りだ」と追及。元衆院議員林宙紀氏(39)も「いの一番に知事が候補者を選んだが、市は県の子会社ではない」と言い切る。
 市長選には元衆院議員大久保三代氏(40)も立候補を予定。4氏の戦いに飛び込み、中心に陣取る知事のスタンスが問われている。


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2017年07月06日木曜日


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