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<大館とんぶり>GI登録 ブランド強化の契機に

GIに登録された大館とんぶり(あきた北農協提供)
とんぶりの原料となるホウキギの苗を植える農家

 秋田県大館市特産の「大館とんぶり」が5月末、地域の農林水産物や食品をブランドとして保護する「地理的表示保護制度(GI)」に登録された。国内唯一のとんぶりの生産地、同市比内地区では、加工に手間が掛かることや農家の高齢化などで生産量、生産戸数とも減っている。農家や農協関係者はGI登録を好機と捉え、ブランド化を図ることで単価を上げて農家の収入増につなげ、生産者を増やそうと意気込む。(秋田総局・藤井かをり)

◎需要安定も生産者減 収入増へ発信力課題

<高齢化顕著>
 6月中旬、農家本間均さん(64)が、とんぶりの原料となるホウキギを機械で畑に植えていた。「数年前までは手で植えていた。機械化が進んで楽になった」と汗をぬぐった。
 出荷を取りまとめるあきた北農協(大館市)によると、とんぶりの生産量と生産戸数の推移はグラフの通り。1990年に410トン、138戸だったのが、2016年は70トン、11戸にまで落ち込んだ。30代の農家が2人いる以外は60〜70代と、高齢化も顕著だ。
 生産者が減少している要因の一つに、とんぶり特有の加工の大変さがある。
 加工作業は11月〜翌年2月、農家が地区の3加工所で行う。乾燥したホウキギの実を煮た後、24時間以上ぬるま湯につけて消毒し、水洗いして皮をむく。最後はふるいにかけて、目視で枝や石を取り除く。約150キロを出荷するのに3日はかかる。
 本間さんは「腰をかがめる作業もあり、高齢者には体力的にきつい」と打ち明ける。

<割に合わず>
 生産者の減少は、経済的な面も大きい。販売価格は1キロ1100円程度で据え置かれてきた。「割に合わない」と手を引いた農家も多い。
 もっとも、昨年の出荷分は今年5月で完売するなど需要は安定している。同農協によると、生産量の7割は関東圏など秋田県外の飲食店などに出荷される。
 需要があるのに販売価格に反映されないのは、知名度の低さに加え、味よりもプチプチとした食感を楽しむ食品であり、毎日の食卓に欠かせない食品ではないため、値が上がると買い手がつかないのだという。

<育つか若手>
 あきた北農協施設運営部の菅原力副部長は「とんぶりを作って生計を立てられるようにならないと、若手農家は育たない」と強調。「GIに登録されたことで『大館とんぶり』が全国区になれば、多少値段が高くても買ってもらえるようになるのでは」と期待する。同農協は販売価格の引き上げを全農などに要請する構えだ。
 農業の6次産業化に詳しい秋田県立大生物資源科学部アグリビジネス学科(秋田県大潟村)の津田渉教授(農業経済学)は販売単価を上げることに加え、「発信力」の強化を課題に挙げる。「手軽でおいしいレシピを発信したり、メディアを利用したりして積極的にPRすることが必要だ」と指摘する。

[大館とんぶり]プチプチとした食感が特徴で、「畑のキャビア」とも呼ばれる。直径は1〜2ミリ程度。原料はアカザ科の一年草ホウキギの実。大館市比内地区では江戸時代から栽培されている。山に囲まれ、風が少なく、豊富な湧き水に恵まれている同地区は生産に適しているとされる。


関連ページ: 秋田 経済

2017年07月07日金曜日


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