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<EPA>東北 畜産家は警戒「割りを食う」

 日本と欧州連合(EU)が経済連携協定(EPA)交渉で大枠合意した6日、東北の農林畜産や醸造の生産現場には不安と期待が交錯した。関税の引き下げや撤廃で、輸入品との競争を強いられる関係者は警戒感を強め、輸出品目を持つ業界は市場拡大を歓迎した。
 交渉終盤の焦点となったチーズなどの乳製品は、EU産チーズに低関税輸入枠を設けることで決着した。全農岩手県本部は、国産チーズの原料となる北海道産加工用乳が飲料用に振り向けられる事態を懸念する。
 丸田博酪農課長は「国内で飲料用の競争が激化して価格が下がれば、飲料用中心の東北の酪農が割りを食う」と不安視した。
 欧州産豚肉への関税は環太平洋連携協定(TPP)並みに引き下げられる見通しだ。年間約2600頭を出荷するいずみ農産(鶴岡市)の斎藤一志会長は「生産者にとってEPAがプラスに働くことはないが日本人の国産志向は根強い。需要に応える商品を出荷し続けることが大事」と話す。
 TPP対策では畜産農家が赤字になった場合、9割を補填(ほてん)する対策が法制化された。約300頭を飼育する農事組合法人しわひめスワイン(栗原市)の石川輝芳組合長は「TPP発効後の実施をEPAに置き換え、国内の生産力をこれ以上落とさない早急な対策が必要だ」と訴えた。
 木材業界は既に外国産材との競争にさらされている。「今でもぎりぎりの立ち位置だ」と漏らすのは秋田県木材産業協同組合連合会(秋田市)の橋場忠則専務理事。「関税撤廃に対応して県産材の価格を引き下げれば、伐採後の再造林という循環が進まなくなる」と危機感をにじませた。
 関税が撤廃されるワイン。サンマモルワイナリー(むつ市)の北村良久社長は安価なチリ産ワインが国内市場に入ってきている例を挙げ、「ワイン愛好家が増えればむしろプラス。青森の風土を生かしたワイン造りをすることに変わりはない」と受け止めた。
 末廣酒造(会津若松市)は約20年前から商品の輸出に取り組んできた。新城猪之吉社長は関税撤廃を好機と捉え、「欧州では高い関税で売り上げが伸びなかった部分もある。消費拡大を期待したい」と歓迎した。


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2017年07月07日金曜日


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