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浪江の蔵 磨いた長井の酒 金賞に輝く

全国新酒鑑評会で金賞を獲得した「一生幸福」を手にする鈴木酒造店長井蔵の鈴木専務

 東日本大震災の津波で酒蔵が全壊し、東京電力福島第1原発事故に伴い福島県浪江町から長井市に拠点を移した鈴木酒造店長井蔵(鈴木市夫社長)が、5月の全国新酒鑑評会で金賞に輝いた。受賞銘柄は2011年11月に同社が蔵を受け継いだ旧酒造会社の「一生幸福」。故郷の復興を願いながら新天地で再起した蔵人たちが長井の地酒の味を磨き上げた。

 鈴木酒造店は拠点を移した年の初仕込みから、浪江町の地酒「磐城壽(いわきことぶき)」と共に「一生幸福」を醸造してきた。廃業した旧酒造会社から蔵を譲り受ける際、経営者から銘柄の存続を頼まれたからだ。
 移転以来、これまで約10種類の銘柄を出荷してきたが、全国新酒鑑評会への出品は大吟醸「一生幸福」のみで、ラベルも従来通り。昨年まで3度、予選審査を通過できなかったが、4度目で念願がかなった。
 1999年から杜氏(とうじ)を務める同社専務の鈴木大介さん(44)にとって初の金賞で、長井市の蔵元でも初受賞の快挙となった。
 「長井で長年飲まれてきた地酒を移ってきた自分たちが造り、金賞を取ることでさらに愛される酒にすることを目標にしてきた」と鈴木さん。「全く違う環境で、質の異なる酒をゼロから造り直す作業だった」と振り返る。
 鈴木さんが手応えを感じ始めたのは再開から5年たった昨年ごろ。主力銘柄の「磐城壽」が国際線の機内食に採用されたり、全国のグルメ雑誌で取り上げられるなど評判と実績を積み重ねてきた。
 口に含むと、澄んだ膨らみときれの良さを感じさせるという「一生幸福」。鈴木さんは「正直、皮肉な名前だなと思っていたが、その名の通り、飲んで幸せを感じてもらえるような酒として今後も大切に育てたい」と話す。


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2017年07月08日土曜日


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