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<この人このまち>被災地の農 再生手助け

尾形政幸(おがた・まさゆき)1957年宮城県大河原町生まれ。77年に教員となり、宮城農高教諭を最後に今年3月に定年退職。再任用された。

 東日本大震災の津波で地力が低下した土地の再生や塩害に強いバラの栽培、津波に耐えた桜の培養・植樹と、名取、岩沼両市でさまざまな復興支援活動が行われている。主体となるのは名取市の宮城農高科学部。顧問の尾形政幸さん(60)に狙いを聞いた。(岩沼支局・桜田賢一)

◎宮城農高科学部顧問 尾形政幸さん

 −被災者と一緒に多年草のカワラナデシコを植え、被災地の土壌性質を高めようという試みを6月に始めました。
 「岩沼市沿岸の千年希望の丘に2年前、復興のシンボルとなるよう桜を植えました。カワラナデシコは丈50センチほどに育つので、桜の周りに円形に配置すると桜の葉が落ちても飛散せず、桜に付く虫が食べて根元が腐葉土になります。桜の成長を促すでしょう」

 −沿岸部は津波の影響で乾燥しやすい砂地になっている場所もあります。有効な手だてですが、どのように思いついたのですか。
 「耐塩性があるバラ『刺梨(ツーリー)』の栽培に取り組んできましたが、桜同様に虫が付きやすく、落ちた葉と虫が土を肥やすことが分かりました。生徒が桜の植栽場所近くで自生するカワラナデシコを見つけたので、これを使って再現しようと考えたのです」

 −そのツーリーは被災農家の6次産業化の支えにもなっていますね。
 「津波被災地でも栽培でき、ビタミンCやポリフェノールが多く含まれる実が大量に採れます。市販化をにらんだ果実茶の製法も検討済みで、名取市では農事組合法人による栽培が始まっています」

 −桜自体、市沿岸部にあった旧校舎で津波から生き残ったものの子孫です。
 「あの時、約20本あった桜のうち6本が生き残り、組織培養して命をつないできました。現在、名取、岩沼両市で約500本が育っています。生徒たちは来年度、現在の仮設校舎から新しく完成する校舎に移りますが、そちらにも植える計画です。科学部の復興支援活動の原点ですね」

 −学校のクラブ活動の域を超越しているような印象を受けます。
 「学校で勉強するのはもちろん大切ですが、外部とつながることでしか得られないものがあります。被災した方の生きざまや必死さには心を揺さぶられますし、何よりコミュニケーション能力が上がります。生徒がやると言う限り、続けていこうと思っています」

 


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2017年07月10日月曜日


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