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<東北大>ミューズ細胞腎臓病改善 点滴治療に道

マウスの体内で糸球体の細胞に分化したヒトのミューズ細胞(矢印)。緑はミューズ細胞

 東北大大学院医学系研究科の出沢真理教授(細胞組織学)らのチームは12日、ヒト由来の「Muse(ミューズ)細胞」を慢性腎臓病のマウスに注射すると、腎組織が修復されて機能が回復するという研究成果を発表した。
 慢性腎臓病は重症化すると人工透析や移植以外に有効な治療法は今のところない。研究成果によって、患者の負担が大幅に軽減される点滴治療の開発が期待できるという。
 体内の老廃物をろ過する腎臓の組織「糸球体」は、糖尿病や高血圧などによっていったん損傷すると治らず、腎臓病の原因となる。
 出沢教授らは糸球体が硬化して慢性腎臓病を発症したマウスの静脈に、ヒトの骨髄から採取したミューズ細胞をごく少量注射。細胞は損傷部位を狙って集まり、糸球体の細胞に分化した。
 ろ過機能を調べる検査でも、数値が改善して正常範囲となった。対照実験で食塩水だけを注射したマウスは、数値が大幅に悪化していた。
 7週目以降は免疫拒絶によりミューズ細胞がなくなったが、5週目までは回復が確認できた。免疫拒絶を起こさない免疫不全のマウスでは、7週目以降も多くの細胞が腎臓内に生存していた。
 出沢教授は「ヒトの体内であれば、さらに長期間のミューズ細胞の生存が可能と考えられる。他者から提供されたミューズ細胞の点滴で、慢性腎臓病を治療できるようにする一つのステップだ」と話す。

[Muse細胞]
 胚性幹細胞(ES細胞)、人工多能性幹細胞(iPS細胞)に続く第三の多能性幹細胞。骨髄や末梢血、あらゆる臓器の結合組織に存在し、さまざまな組織や臓器に成長する能力がある。傷付いた組織からのシグナルを受けてその部位に集積。組織に応じた細胞に自発的に分化し、修復する。がん化の恐れが少なく、安全性とコスト面で優れる。出沢教授らが発見し、2010年に発表した。


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2017年07月13日木曜日


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