宮城のニュース

<市民のものづくり>プロ仕様機材で個性

箔押し機で作業する土橋さん

 市民がものづくりに利用できる仙台市内の3カ所の施設を訪問。それぞれの空間や機材を生かして創作に取り組む利用者らを取材した。

◎印刷加工スタジオ analog(仙台市若林区)

 印刷位置は合っているか。印圧は弱過ぎないか。重厚な雰囲気を醸す「箔(はく)押し機」を前に、さいたま市の会社員土橋加奈子さん(40)が慣れた様子で確認する。箔押し機は、亜鉛製の凸版を使い、色の箔を素材に熱圧着させる。この日は名刺やプラスチック製定規などに文字やイラストを印刷した。
 仙台市若林区の印刷工業団地にある印刷加工のレンタルスタジオanalog(アナログ)を土橋さんが訪問するのは、もう5回目。仙台で2015年秋まで約2年暮らしたとはいえ、気軽に通える距離ではない。
 「箔押しが自分でできる場所は東京にもない。印刷屋さんに任せるしかなかったことができるってすごい」と土橋さん。「ずれたりかすれたり、思い通りにいかないときもあるけれど、それも含めて楽しい」と目を輝かせる。

<業者顔負けの品に>
 箔押し機で作った名刺の風合いは独特で、行く先々で反響がある。そうして出会った仲間と、analogのようなものづくり空間を水戸市内に作ろうと準備を進めているという。
 analogでは箔押し機のほか、ポスターやオリジナルデザインのTシャツなどを刷るシルクスクリーン印刷機、紙や板を裁断できるレーザーカッターなど、印刷のプロが使う機材を貸し出す。利用者のセンス次第で、市販の「製品」に近い業者顔負けのアイテムを作ることも可能だ。
 常連の一人、東松島市のイラストレーター松本千恵さん(27)は、イベントで販売するため自作のイラストをあしらった雑貨などを製作する。
 市販のプラスチック製カードケースに箔押ししたり、トートバッグにシルクスクリーン印刷したり機材をフルに活用。「他の人とは違う面白い物がここなら作れる。一つから作れるのも凝り性にはたまらない」とほれ込む。

<手描きデータも可>
 印刷用の版はパソコンで作製したデータで作ることが多いが、手描き派も。「パソコンは苦手。手描きで版を作る方法を教わり、好きなデザインで作れた」と話すのは、名取市の会社員松崎桜さん(23)。好きなミュージシャンをモチーフにイラストを描き、シルクスクリーンでTシャツに刷った。「自分で刷ったTシャツを着てライブに行くと気分が違い、より楽しめます」と笑顔を見せる。
 縦90センチ、横130センチまで対応できる大型レーザーカッターで2枚の板を切り出し、細かなスリットを入れる。若林区の介護福祉士志子田聡さん(48)が作っているのは、ウクレレ。2枚の板はボディーのサイド部分だ。
 手作業で曲げるのが難しく、思い付いたのがレーザーカッター。との粉などでスリットを埋めれば、きれいに鳴る。設計データを基に、ネックなどを除く他のパーツもレーザーで切り出す。「熟練の職人じゃなくても、簡単かつ正確に形になる。音色をもっと追究したい」。次の制作に取り掛かった。

◎施設案内 information

 製本業の菊信紙工所が2016年2月、製本工場隣に開設した印刷加工のレンタルスタジオ。紙やプラスチック、皮革などに文字やイラストを転写する箔押し機や、紙や布に刷れるシルクスクリーン印刷機、各種製本機、レーザーカッターなどを備える。一般的な仕様や体裁と異なる本を作る特殊製本のスタジオも兼ね、さまざまな依頼に応じている。

<主な機械/道具/工具(料金)>
・箔押し機        3600円/2h
・シルクスクリーン印刷機 3600円/2h(いずれも製版は料金別途)
・レーザーカッター    3600円/2h
・各種製本機       3600円/2h
※延長はいずれも     1000円/1h

<利用方法>
 使いたい機械ごとにワークショップ形式の初回講習(各5000円)の受講が必要。ウェブサイトから予約する。見学は事前にメールで問い合わせを。箔押し機に使用する箔やシルクスクリーン用インクは時間内使い放題。紙類や無地Tシャツも販売している。

<アクセス>
 仙台市若林区六丁の目西町2の26▽午前10時〜午後7時(午後10時まで延長可)、火・木曜定休▽http://www.analogpress.net▽022(290)9655。


関連ページ: 宮城 社会

2017年07月13日木曜日


先頭に戻る