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<E番ノート・球譜>岡島の左翼起用/右翼重視の定説覆す

レフトを守る岡島=6月28日、弘前市運動公園野球場

 開幕から東北楽天の外野布陣に疑問を感じていた。なぜペゲーロが右翼で、岡島が左翼? 岡島は肩や守備範囲に定評がある。ペゲーロも外国人の中では守備がうまい選手ではあるが、岡島と比べると見劣りする。昨季は逆の配置だった。
 打者は右打ちで走者を進めようとする。だから右翼手の守備力は重要−。これは球界で長年信じられてきたセオリーだ。イチロー(マーリンズ)が右翼から「レーザービーム」と賞される一直線の送球で三塁や本塁を狙う走者を刺す姿が右翼の重要性を証明している。

<データが「実証」>
 試合のデータ収集や分析を担当する東北楽天のチーム戦略室に話を聞くと、球界の常識を覆す回答が来た。
 「シーズン全体では、実は右翼より左翼への打球が多い。しかも左翼への打球の方が落下点に入るまでの時間が限られる。結果として守備範囲に数歩分の差が出るという事実があった。そこでより打球への対応力が高い外野手を左翼に置けば安打のリスクを減らせるのではないか、という仮説を立てた」
 球団は、ボールの軌道を自動追尾して打球の速度、飛距離、着地までの時間などを測定できる機器「トラックマン」を2014年に12球団で初めて導入した。その調査結果から、判明した事実だという。実際に今月2日までのコボパ宮城の公式戦29試合で、右翼へ270本、左翼へは281本の打球が飛んでいる。
 「打球データの通りでもあるし、本当は左翼守備は難しい」と森山外野守備走塁コーチが明かす。パ・リーグは柳田(ソフトバンク)、大谷(日本ハム、岩手・花巻東高出)ら左の強打者が多い。左翼線に流した打球はファウルゾーン側に逃げる回転がつき、捕球が難しい。対応を誤れば三塁打になる危険性もある。その点、捕手出身の岡島なら捕球技術に心配がないという判断でもある。

<前進守備も採用>
 今季、首位を走る快進撃を支える要因の一つに失点を大きく減らしたことが挙げられる。ここまで75試合で259と昨季の348から89も減らした。投手陣の頑張りと共に貢献しているのが、ぺゲーロと岡島の配置に代表される外野守備陣のシフトだろう。
 今季の外野陣は相手の適時打を阻む積極的な前進守備も採用した。チーム戦略室が開幕前、詳細に分析した守備データを踏まえ、首脳陣とともに手前に落ちるポテン安打への警戒を強めたシフトを割り出した。そこに当日の気象条件や打者の状態などを加味して、後方への打球もケアできるように首脳陣が微調整する。
 象徴的なのが島内の中堅守備。美馬が1−1の八回に代打新井を見逃し三振に仕留め、ピンチを切り抜けた6月10日の広島戦。直前の1死二塁の西川の打席、「ゴロ安打での本塁生還を阻止する」というベンチ指示で島内は定位置のかなり前にいたが、フェンス際まで戻って大飛球に追い付いた。「もし頭を越されても責任は指示したベンチにある。だから選手も思い切って動きやすくなる」と森山コーチは説明する。
 ペゲーロを2番に置く攻撃的打順に注目が集まってきたが、裏方と現場が英知を結集した外野手配置も画期的だ。(金野正之)


2017年07月14日金曜日


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