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<南極見聞録>暗い冬明るく楽しく

サンピラー(太陽柱)。この日の最低気温はマイナス22.1度。空気中の水蒸気が凍って小さな粒になり、太陽の光を反射して起こる現象です。手前にあるのは第4次隊で遭難した故福島紳隊員を慰霊する福島ケルンで、南極史跡記念物に登録されています(筆者撮影)
ミッドウインターのグリーティングカード。国内外の関係者や越冬中の各国の基地に送ったものです(第58次隊作成)

 第58次南極地域観測隊に仙台市太白区の外科医大江洋文さん(57)が参加している。過酷な環境の中で任務に励む日々。極地の「今」を伝える。

◎こちら越冬隊 Dr.大江(8)極夜の祭り

 日本を含む北半球の地域が今が夏で日が長いのと反対に、南半球は季節は冬、特に高緯度にある昭和基地は一日中、太陽が昇らない極夜の時期です。今年はこの極夜の時期が6月21日の夏至(太陽が天球上で最も北に位置する日、南半球の冬至に相当)を挟んで5月31日から7月12日まで続きました。
 朝起きても、外は真っ暗です。昼近くになると薄明るくはなってきますが、午後3時にもなればまた夜に逆戻りで、隊員たちはいくら寝ても寝た気がしないとぼやいています。

<基地同士お祝い>
 しかし、越冬隊にとって夏至は、日ごとに明るさが戻ってくる越冬生活の折り返し点という特別な意味もあります。ことし、南極で越冬しているのは、日本の昭和基地も含めて19カ国の41カ所に及びます。多いのはアルゼンチンの6カ所で、次いでチリとロシアの5カ所、アメリカとオーストラリアの3カ所と続きます。日本は昭和基地だけですが、アジアの他の国ではインド、中国、韓国がそれぞれ2カ所で越冬中です。
 暗くて気分もめいりがちになる極夜の時期を、みんなで力を合わせて元気に乗り切ろうということで、越冬している各国の基地では一斉にミッドウインター祭りのお祝いをしました。
 電子メールでグリーティングカードを交換したり、場所的に近い基地ではお互いに晩さん会に招待しあったりします。日本国内でも南極観測隊の関係者やOBなどが集まって盛大に会が催され、旧交を温める機会になっているようです。

<仏料理を正装で>
 隊員たちは、休日や終業後の時間を利用して、約1カ月前から準備を始めました。屋外に作ったステージで自主製作の映画を鑑賞し、屋内では居住棟ごとに分かれたチームや個人で、工夫を凝らした出し物を豪華なお弁当とともに楽しみました。
 2人のシェフが腕を振るったフランス料理のフルコースを隊員一同、正装していただき、広場では雪像コンテストを行い、レクリエーションとして相撲大会、クイズ大会、カラオケ大会などが開かれました。
 もちろん、祭りの後はみんなできちんと後片付けをして気分を一新し、現在は極夜明けに向けた業務に取り掛かっているのは、言うまでもありません。
(第58次南極越冬隊員・医師 大江洋文)


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2017年07月15日土曜日


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