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<地下鉄と市長選>非沿線の郊外 衰退進む

太白山(写真左奥)を望む茂庭台の住宅地。駐車場周辺(右手前)がモノレール駅予定地とされた

 仙台市地下鉄南北線は15日、開業から30年を迎えた。東北で最初の地下鉄は延べ17億人の足となった。23日投開票の市長選で争点となっているまちづくり政策は、南北線を抜きに語ることはできない。仙台の大動脈の起伏と新市長の宿題を探る。(仙台市長選取材班)

◎開業30年 光と影/仙台市地下鉄南北線(2)幻像

<3回目の失望>
 2015年12月、仙台市で2路線目の地下鉄東西線の開業を、太白区茂庭台の住民らは複雑な気持ちで受け止めた。西の起点の八木山動物公園駅からさらに西へ約5キロ。延伸はかなわず、駅は設置されなかった。
 鉄道の乗り入れが悲願だった住民の願いが失望に終わったのは、これで実に3回目だ。
 最初は「茂庭線」。市交通計画委員会が1972年公表した「高速鉄道網」で現在の太白区長町南から茂庭に至る全長8.8キロの路線が計画されたが、立ち消えになった。
 80年代半ばに浮上した「モノレール南西線」は基本調査も行われ、実現へと近づいた。JR仙石線が青葉区の西公園まで延び、さらに西公園と茂庭台を結ぶモノレールに接続させる構想に、地域は沸いた。
 モノレールの完成を見越し、茂庭台には多くの人々が移住した。茂庭台小は85年の開校当初に約250人だった児童数が1000人を突破。第2小学校の用地も確保された。

<「駅があれば」>
 市は91年、収支の見通しが立たないとしてモノレール計画を撤回した。怒号が飛び交った住民説明会は今も語りぐさだ。
 茂庭台学区町内会連合会の山口強会長(70)は「私たちが生きているうちは無理でも、東西線を茂庭台まで延ばせないか」と諦めきれない。駅前として想定された中央地区は現在、駐車場やゲートボール場になっている。
 茂庭台は市の事業で造成された。周辺開発で団地は拡大するはずだったが、現実は異なった。「子どもが出て行き、高齢夫婦の世帯ばかり。駅があれば違っただろう」。山口さんは嘆く。

<地価 格差表す>
 都市機能が地下鉄沿線に集約され、その結果は地価に如実に現れる。今年1月1日現在の基準地1平方メートル当たりで比較すると、茂庭台の4万3000円に対し南北線沿線の泉区泉中央は15万6000円、太白区長町は14万4000円と格段に高い。
 東西線沿線に至っては、薬師堂駅そばの若林区白萩町が今年3月の地価公示で全国トップの住宅地上昇率を記録した。白萩町内会の野沢徳行会長(80)は「子の世代は郊外に家を建てて出て行ったが、孫の世代が戻ってきている」と喜ぶ。
 郊外とは対照的に、地下鉄沿線は世代の新陳代謝が進んでいる。不動産鑑定士の西山敦氏(若林区)は「沿線は今後も投資が続くだろうが、郊外はこのままではゴーストタウンになりかねない」と指摘する。


2017年07月16日日曜日


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