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<汚染廃棄物>「地元合意」新たな難題

試験焼却の開始時期について、首長の質問に答える村井知事(中央)=15日午後6時10分ごろ、県庁講堂

 約3万6000トンに上る廃棄物の処理が、ようやく一歩前進した。東京電力福島第1原発事故に伴う放射性物質で汚染された国の基準(1キログラム当たり8000ベクレル)以下の廃棄物処理を巡り、15日あった市町村長会議。圏域ごとに個別処理する宮城県の新方針が了承され、今秋にも試験焼却が始まる予定だ。焼却施設の周辺住民らは反発しており、今後は「地元合意」という新たな難題が立ちはだかる。
 「意見なし」。会議開始からわずか15分での全会一致だった。質問したのは相沢清一美里町長のみ。「年内に試験焼却を始めたい」という村井嘉浩知事に、「期限を決めると住民に対して丁寧に説明する時間がない」と異議を唱えた。
 村井知事は「モニタリング機材を手配するため、開始時期が分からないと業者に迷惑が掛かる。試験焼却まで3、4カ月あり、その間に説明してほしい」と方針に沿うよう求めた。
 宮城県美里町を含む大崎圏域5市町は焼却処理でおおむね了承している。大崎市の伊藤康志市長は「(年内開始の)目標に向けて最大限努力する」と強調。昨年の住民説明会で、焼却への懸念が住民から出たが「すき込みの拡大策も含めて整理し、理解を求めていく」と話し、8月にも説明会を開く意向を明らかにした。
 同じ大崎圏域でも、県内最多の約7500トンを抱える宮城県加美町は処理方針が未定。猪股洋文町長は「いろんな選択肢があり、住民の考えもさまざま。圏域として丁寧に説明する大仕事があり、よりましな解決を目指すしかない」と言う。
 仙南2市7町でつくる仙南地域広域行政事務組合は、仙南クリーンセンター(角田市)で試験焼却する方針を固めている。
 大友喜助角田市長は「議会に説明し、意見を聞くことが重要。その上で全市民対象の住民説明会を開きたい」との考えを示し、組合理事長の滝口茂柴田町長は「焼却方法と時期を県と今後協議する」と述べた。
 石巻など3市町の石巻地区広域行政事務組合は県方針を了承済みだが、6日の住民説明会では反対意見も出た。亀山紘石巻市長は「住民理解を得ながら進める」と淡々と語った。
 黒川地域行政事務組合は宮城県大和町の焼却施設、処分場で処理する方針だ。赤間正幸大郷町長、萩原達雄大衡村長は「自分たちで堆肥化や土壌へのすき込みにも取り組む」と口をそろえる。
 焼却以外の処理策として堆肥化の実証実験を進めるのは栗原市。千葉健司市長は「各手法の良しあしを検証している最中で、9月にまとめる報告書の結果を見極めて総合的に判断する」と述べ、明言を避けた。


2017年07月16日日曜日


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