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津波被災地域に宅地完成 早々に再建、地域に勇気

建築中の自宅を見に来た比佐さん。形が見えてきた住宅は隣と2軒だけだ

 東日本大震災の津波で大きな被害を受けた福島県いわき市の薄磯地区で15日、土地区画整理事業で造成した宅地185区画の完成式があった。住民の7人に1人が犠牲になり、家を建てる人はまだ少ない。津波にのまれて九死に一生を得た元漁師の比佐勇さん(68)は早々と自宅再建に着手、地域に勇気を与えている。
 区画整理では、山を削り、平場をかさ上げして宅地11.8ヘクタールを整備。2015年度から順次引き渡され、最後の11区画の引渡書が15日、地権者に交付された。
 ただ、市が15年度に実施した意向調査によると家を建てる予定の区画は4割強。地元行政区の調べでは3年程度の間に再建する世帯はさらに少ない二十数軒で、震災前の約280世帯の1割にとどまる。
 時間の経過とともに地区外で住宅を再建する人が増加。高さ7.2メートルの防潮堤や高さ10.2メートルの防災緑地も整備されたが、安全への不安も根強いとみられる。
 建築が進む数軒のうち、8人暮らしの比佐さん方は最も早く着手した一つ。比佐さんは「生まれ育った地に早く家を再建したかった。家族も『じいちゃんが思うようにやったらいい』と言ってくれた」と言う。
 震災時、海岸から約100メートル先の自宅そばで津波にのまれ、一時は死を覚悟した。近所の友人を亡くし、集落を去る知り合いも見送った。それでも海のそばで家族との生活を取り戻す決意は揺るがなかった。
 15日、地元薄井神社の総代長として完成式に出席後「震災前以上の薄磯にしたい」と決意を新たにした。
 更地に家が建つ姿に力をもらう住民もいる。震災で妻と母を亡くした山野辺清さん(64)は今も気持ちが落ち込むことがある。「家が建つのは励みになる。戻ろうかという人も増えるのではないか」と話す。
 15日は新住民を呼び込もうとバスツアーもあった。


2017年07月16日日曜日


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