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<エコラの日々>遺された布たち

絵・木下亜梨沙

 伯母が亡くなり、その家の後片付けを手伝っています。1人暮らしを続けた伯母は、9年ほど前に倒れ、その後は施設で暮らしていましたので、震災の後片付けもしないままになっていました。
 食器、贈答品、生活用具…。伯母の生前の暮らしぶりや家の歴史を刻み込んだ何十年分もの荷物がぎっしり詰まっています。
 遺(のこ)された膨大な荷物の多くを占めていたのは布。衣類、タオル類、シーツや風呂敷はもちろん、買い集めた色とりどりの生地がこれでもかというぐらい押し入れに詰まっていました。長い間しまい込まれた布は部屋のカビや経年の臭いが付き、どうしようか迷いましたが、洗濯をして利用することにしました。
 タオルやシーツ類は犬や猫の保護活動をしている団体に、生地は障がい者の活動支援団体の小物作りに利用していただきました。古着や着物はACT53仙台の「もったいない市・古布の山」に持ち込んでリサイクルする予定です。思いの詰まった布を、何とかごみにしないようにしたいと思うのです。
 洋服やバッグを手作りしていたという伯母ですが、体が思うように動かなくなると身の回りの整理もできなくなり、必要な物も探せず、宅配で注文しては手に入れていたのでしょう。同じような日用品が何個も何個も出てきました。賞味期限のとっくに切れた食品もたくさんありました。
 不要なものを処分し自分にとって必要なもの、大切だと思うものが整理されていればその後の生活の質は向上します。大量のモノに囲まれ身動きの取れないような暮らしにはならなかったのではないでしょうか。
 また、介護される生活になり亡くなったとしても、残された家族が遺品の整理に戸惑うようなことは少なくなると思います。断捨離や終活という言葉はこの何年かですっかり日常語となりましたが、人生の終わりに向けて元気なうちに身の回りを整理しておくことはとても重要なことであると実感しています。
 伯母の持ち物の中に、布団包みとして使われていた古い藍染めの風呂敷がありました。何種類かの布を縫い合わせたもので、擦り切れたところを繕った跡があります。伯母の両親、祖父母の着物を利用したものかもしれません。家の歴史を伝えてくれているようにも思えるこの布を生かして、パッチワーク作品を作ろうかと思っているところです。
(ACT53仙台・木下牧子)


2017年07月24日月曜日


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