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<仙台市長選>政権不信 逆風もろに

菅原氏(中央)は村井嘉浩宮城県知事(右)と奥山恵美子仙台市長(左)も支持。盤石の態勢でも政権批判の前に沈んだ=22日、仙台市青葉区

 23日に投開票が行われた仙台市長選は、元衆院議員の郡和子氏(60)が新人4人による戦いを制し、初当選した。与野党が真っ向からぶつかった選挙戦は収穫や教訓をもたらした一方、深い傷跡も残した。激戦の内実と余波を探る。(仙台市長選取材班)

◎激戦の残像(上)加計ショック

 「『郡市長』です。よろしくお願いします」
 投開票から一夜明けた24日午前、市役所前で民進党市議らが通行人に当選を報告した。傍らの郡氏も笑みを浮かべ、頭を下げた。
 同じ頃、国会では学校法人「加計(かけ)学園」問題を巡る衆院予算委員会の閉会中審査が始まった。トップバッターを務めた自民党の小野寺五典元防衛相(衆院宮城6区)は、安倍晋三首相に「国民が大きな疑念を持って安倍政権を見つめている」と苦言を呈した。
 市長選と加計学園問題。本来は無縁であるはずの二つの要素が、安倍政権に対する市民の不信が触媒となって結び付いた。

<応援演説で陳謝>
 「おごりがあるという指摘は、謙虚に受け止めなければならない」。選挙戦最終盤の20日、青葉区であった会社社長菅原裕典氏(57)の個人演説会で、応援に来た自民の山本一太元沖縄北方担当相が陳謝した。
 菅原氏を支えた自民市議らも、党への風当たりの強さを肌で感じた。元議長は「支持者に『あなたのことは応援しているが、今回は駄目だ』と言われてしまった」と明かす。
 終盤は電話作戦などを徹底し、票のさらなる積み上げを図ったが、「減るのを食い止めるのが精いっぱいだった」(元議長)。陣営には徒労感が広がった。
 「市議選のような戦い方だ」。自民市議の一人は郡陣営の選挙カーが細い路地にまで入り込んで名前を連呼するのを目撃し、思わずうなった。知名度で劣る菅原陣営にこそ必要な「どぶ板戦術」だったが、ガラス張りの瀟洒(しょうしゃ)な選挙カーは小回りが利かず、細い道は苦手だった。

<「共闘の力確信」>
 「3連休後が勝負だ」。中盤、民進の安住淳代表代行(衆院宮城5区)が陣営に号令し、徹底した安倍政権批判が始まった。
 枝野幸男前幹事長、山尾志桜里前政調会長、福山哲郎幹事長代理ら弁の立つ論客が続々と仙台入り。終盤には国連平和維持活動(PKO)を巡る稲田朋美防衛相の日報隠蔽(いんぺい)疑惑も噴出し、舌鋒は鋭さを増した。
 「しっかりとした枠組みで受け皿をつくれば、自公に対抗できる。共闘は続けていくべきものだと確信した」。郡氏の当選が確実になった23日夜、安住氏は昨夏の参院選に続く野党共闘での勝利に高揚感を隠さなかった。
 与野党の総力戦のはざまで、ともに政党の支援を受けなかった元衆院議員林宙紀(39)、同大久保三代(40)の両氏は埋没した。林氏は「市民が選んだ結果だ」と淡々と語った。


2017年07月25日火曜日


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