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釜石の被災老舗書店 再建オープン

新店舗を訪れた客に笑顔で応対する桑畑さん(左)

 東日本大震災で被災した岩手県釜石市の老舗書店が24日、市中心部で再建を果たした。1935年創業の「桑畑書店」3代目社長の桑畑真一さん(63)は「本を必要とする人のため、立ち寄りやすい店を目指したい」と意気込む。
 新店舗は、目抜き通りに面した災害公営住宅1階のテナントに入居する。売り場は約50平方メートルで、21〜23日は高校の同級生やボランティアが引っ越し作業を手伝った。
 震災前に構えていた2階建て店舗は売り場が約230平方メートルあり、ホールも備えていた。釜石出身の作家らを招いたイベントを催し、地元文学ファンに集いの場を提供していた。
 震災は、経費節減などで近年の赤字経営を脱却して間もなく起きた。津波で店舗は全壊し、4万冊以上が流出。近くにあった自宅も失った。
 事務所を借り、泥まみれで見つかった顧客名簿を基に約500件の配達を再開したのは1カ月後。2011年11月には、仮設商店街の店舗で営業を始めた。
 狭い売り場では、特色ある品ぞろえは諦めざるを得ない。震災後に開業した市内の商業施設には大型書店が進出し、売り上げは以前の10分の1以下に減った。正社員2人にはパート勤務に切り替えてもらい、漫画週刊誌1冊から配達に走り回った。
 仮設商店街の入居期限が来年3月に迫る中、市から出店を打診されて決断。震災後の人口減と消費低迷を実感し、本離れとインターネット通販の隆盛に直面する中での再出発だ。
 「不安は大きいが、復興支援などで釜石に来た人と多くの新しい縁ができた。お客さんと対話し、信頼関係を築きながら販売するスタイルで頑張りたい」と桑畑さんは前を向く。
 店舗再建を記念して、岩手県立高教諭で、震災を詠んだ句集「龍宮(りゅうぐう)」が現代俳句協会賞特別賞などを受賞した俳人照井翠(みどり)さんの講演会を8月1日午後4時、釜石市のライブ施設「釜石PIT(ピット)」で開く。入場無料。
 連絡先は桑畑書店0193(22)3399。


2017年07月25日火曜日


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