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<宮城8農協合併>縮む基盤 規模に活路

 宮城県北の8農協が31日、合併推進協議会を設立し、具体的な合併議論をスタートさせる。実現すればコメをはじめとする販売高、正組合員数は全国トップクラス。スケールメリットを生かした販売などが期待できる一方、組合員との関係が薄れるとの懸念も強い。大農協構想を取り巻く課題や利点を探った。

◎動きだす大農協(上)危機感

<「今は良くても」>
 宮城県色麻町で今月上旬、加美よつば農協(色麻町)の区域別説明会があった。三浦静也組合長は120人を前に「今は良くても、10年、20年後を考えると合併を頭に入れなければならない」と力を込め、推進協の設立に理解を求めた。
 県農協中央会は2015年11月の県農協大会で、県内14農協を三つに再編する構想をまとめた。構想に基づき、北東部、中西部、中南部の3研究会がそれぞれの地域に設置され、検討が進められてきた。
 再編を急ぐ背景には、加速する組合員の減少がある。県の統計によると、県内の正組合員数は15年度に12万人を割り込み、11万9900人となった。24年連続の減少で、20年前から3万人以上減った。

<収益事業先細り>
 中央会によると、正組合員の50%以上を65歳以上が占め、高齢化が進む。農協の稼ぎ頭とされる金融、共済の両事業は低金利政策などの影響で利益幅が縮小。農産品や農業資材などの販売高も減少傾向にあり、事業基盤が縮んでいる。
 6月末に中央会トップに就任した高橋正会長(南三陸農協前組合長)は「適正な規模で組合員のニーズに応えることが農協本来の姿だが、それ以上に金融などのグローバル化の流れが強い」と述べ、環境変化の厳しさを指摘する。
 今年春に始まった8農協による合同研究は、中西部が北東部に持ちかけた。関係者によると、両地域は営農類型などが似通っているのに加え、中西部では圏域のみで再編しても規模的に合併効果を発揮しにくいとの懸念もあった。
 みどりの農協(美里町)の大坪輝夫組合長は「合併のメリットを最大限に享受するための合同研究だった」と明かす。販売品販売高が県内で最も多いみやぎ登米農協(登米市)が昨年末に北東部から離脱し、8農協の枠組みが固まった。

<過去に苦い経験>
 いわでやま農協(大崎市)は、8農協の総販売高に占める割合は5%弱にとどまる。同農協には、20年ほど前の農協再編で隣接する農協との合併協議が進展しなかった苦い経験がある。
 組合員には「利便性をもっと考えてほしい」と周縁部になることへの懸念が残るが、鈴木千世秀組合長は「今、合併をためらって、後で入れてくださいと言っても、入れてもらえない」と焦燥感をにじませる。
 新農協の経営シミュレーションに並ぶ厳しい数値は、合併後も右肩下がりの針路が続くことを物語る。「このまま単独経営を続けることのデメリット」(栗原市・栗っこ農協の吉尾三郎組合長)を、規模の力でいかに軽減するか。具体的な模索が始まる。


関連ページ: 宮城 経済

2017年07月26日水曜日


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