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<清月記>被災ビル不正購入か 契約後に公費で解体

清月記が購入し、公費で解体された雑居ビル=2011年4月、仙台市青葉区木町通2丁目

 東日本大震災の地震で被災した仙台市青葉区の雑居ビルを巡り、同市の冠婚葬祭業清月記が2012年3月に東京の男性から購入した際、自前での解体を前提に売買契約したにもかかわらず、実際は全額公費で解体していたことが25日、分かった。契約2日前にビルの被害認定が「半壊」から公費で解体できる「大規模半壊」に引き上げられており、清月記側だけが情報を知りつつ契約を結んだ疑いもある。男性は損害賠償請求訴訟を提起する方針。

 雑居ビルは鉄筋コンクリート7階建てで、土地面積は約690平方メートル。震災で天井や壁が損壊し、男性は11年6月、市に罹災(りさい)証明の発行を申請して「半壊」の被害認定を受けた。
 男性側によると、ビルと土地の評価額は計約2億円。清月記は「解体費がかかる」として1億3100万円で購入を打診した。菅原裕典社長が12年1月26日に購入を申し込み、同年3月29日、1億3500万円で売買契約を結んだ。
 市の記録によると、市は契約直前の3月6日と22日に2、3回目の被害調査を実施し、契約2日前の同月27日に認定を「大規模半壊」に引き上げた。清月記は4月16日、変更後の罹災証明書を添付して市に公費解体を申請した。実際の解体費は約7600万円で、市が後日、解体した。
 市によると、被害調査や証明書発行の申請は震災発生時の所有者か代理人にしか認められていない。だが、男性は「申請していないし、被害認定が変わったことを最近まで知らなかった」と話す。
 売買契約書には(1)被害認定は「半壊」(2)清月記が建物を解体−と明記されていた。清月記は売買契約締結日までに認定の変更を把握していたのに、男性側に伝えなかった可能性がある。
 男性側は「不自然な形で調査が始まり、勝手に被害認定が変更された。不正があったとしか考えられない」と述べ、同社を相手に仙台地裁に提訴する方針。
 菅原氏は「大規模半壊になれば解体費を出さずに済むため、3回目まで調査してもらった。申請は男性側でしており、金額を決めて売買契約が成立した。不正はしていない」と述べた。
 菅原氏は任期満了に伴う23日投開票の仙台市長選に立候補し、落選した。
 清月記は1985年創業の「すがわら葬儀社」が前身で、10年に社名変更した。仙台市内を中心に20カ所の斎場を展開し、15年度の売上高は約50億円。


<被害認定> 被災した家屋などの「被害の程度」を認定すること。市町村が外観の目視や内部への立ち入りによって調査し、部位ごとの損害割合を計算した上で「全壊(損害割合50%以上)」「大規模半壊(同40%以上50%未満)」「半壊(同20%以上40%未満)」「半壊に至らない」の4区分で認定する。認定結果に基づいて発行された罹災証明書は、被災者が生活再建支援金などの支援を受ける際に必要となる。東日本大震災時、仙台市は原則、大規模半壊以上の建物を公費解体の対象とした。


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2017年07月26日水曜日


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