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<宮城8農協合併>弱まる関係性を懸念

 宮城県北の8農協が31日、合併推進協議会を設立し、具体的な合併議論をスタートさせる。実現すればコメをはじめとする販売高、正組合員数は全国トップクラス。スケールメリットを生かした販売などが期待できる一方、組合員との関係が薄れるとの懸念も強い。大農協構想を取り巻く課題や利点を探った。

◎動きだす大農協(中)距離感

 栗原市の60代の農業男性には、宮城県北の8農協による広域合併構想が、市町村の「平成の大合併」とダブって映る。

<「周縁切られる」>
 「職員が減らされ、サービスが低下した町村合併と同じ。経済効率を優先し、周縁から切られていくのが目に見えている。農協の職員が縁遠い役人になっていく気がする」
 経営基盤の強化を目指し、大同合併にかじを切った8農協の考えとは裏腹に、各地域の組合員には農協との関係性が希薄になるのではないかとの不安や懸念が消えない。
 8農協は組合員に対し、これまでに各農協が取り組んできた支店再編を踏まえ、現状の支店を基本に据えると強調。新農協発足を理由とした統廃合は考えていないと説明している。
 ただ、現状の支店網が将来にわたって維持されるかどうかは分からない。県内のある農協関係者は「合併すれば、固定費を削る方向へと動く。支店が統廃合されれば、組合員は離れていく」と厳しい見方を示す。

<声が届きにくく>
 意思決定に関わる総代は8農協で4000人を超える。経営を担う理事は約180人。数が減れば、地域の声が届きにくくなることに加え、農協ごとに培ってきたブランドなどの地域特性も損なわれかねない。
 「合併は厳しい経営を改善する一つの方法だが、離脱が最善の方策だと考える。農協と組合員の距離を近くしたい」。合併への参加を見送ったみやぎ登米農協(登米市)の榊原勇組合長は、組合員と農協の「顔が見える関係」の維持を理由に挙げた。
 農協の歴史は合併の歴史でもある。県内では1960年度に214あった農協が14に集約された。市町村の枠を超えた広域合併が進展したのは96、97年度。20年が経過し、各農協は今後の組織の在り方を考える時期に差し掛かっている。

<安定に時間必要>
 みやぎ登米と同様に単独での生き残りを選択した仙台農協(仙台市)は来年3月、1次合併から20年を迎える。菅野育男組合長は「組合員に『自分たちの農協だ』との意識がようやく出てきた」と指摘。帰属意識の醸成、組織安定には時間が必要との認識を示す。
 6月下旬に相次いで開かれた各農協の総代会。合併の流れにあらがえないとの空気に包まれた一方、組合員らからはため息交じりの声が漏れた。「農協栄えて担い手なしなんてことにならないか」「組合員のためというより、組織のためという印象を受ける」


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2017年07月27日木曜日


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