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<水のある風景>多様な生態系を育む

梅に似た1センチ前後の白い花が水中で咲き競う。キンポウゲ科の常緑多年草で、北海道や本州の中国地方以北に分布するという
夜、沢端川の漆黒の水面に梅花藻が浮かび上がるライトアップ。大坂夏の陣400年の2015年に始まった。今年は今月末まで=武家屋敷・旧小関家前

 梅雨もまだ明けないうちから、夏本番の暑さに見舞われている今年。例年より早い盛夏の訪れに、涼を求める声があちこちであいさつ代わりになっている。ひとときの清涼と安らぎをもたらす光景を東北各地で探してみた。

◎2017夏・涼(1)梅花藻(宮城県白石市)

 城下町のせせらぎに、かれんな白い花が揺らめく。
 白石市中心部の沢端川に咲く梅花藻(ばいかも)。白石城のかつての外堀で夏の訪れを告げ、濃緑の水草に彩りを添える。
 近くの細田紀明さん(76)は「水遊びを楽しんだ子どもの頃、キンギョグサと呼ばれ、金魚鉢に入れていた」と懐かしむ。
 市文化財愛護友の会の会長でもある細田さん。正保年間(1644〜48年)に描かれた白石城下町の絵図に沢端川とみられる堀はあるが、梅花藻を記す史料は確認されず、いつからあるかは分かっていない。
 同市の東北植物研究会会長の上野雄規さん(69)によると、山の澄んだ沢や湧水を好み、市街地で自生するのは珍しいという。
 「水質の良さを物語り、小魚や昆虫など多様な生態系を育む。梅花藻を長くめでていきたい」と上野さん。市民らによる川干しと清掃活動が毎年あり、清流を守る取り組みは続く。
 梅の名が付く花は、一人の姫君を思い起こさせる。2代白石城主片倉小十郎重長の妻阿梅(おうめ)。戦国武将真田信繁(幸村)の娘は、父が散った大坂夏の陣(1615年)のさなかに重長に託されたと伝わる。
 阿梅が眺めたかもしれない水中花。水音響く街に、今も涼やかに咲き誇る。


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2017年07月28日金曜日


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