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<宮城8農協合併>販売増へ連携強める

組織再編の基本構想を採択した2015年11月の県農協大会。8農協合併への起点となった=仙台市青葉区の仙台国際センター

 宮城県北の8農協が31日、合併推進協議会を設立し、具体的な合併議論をスタートさせる。実現すればコメをはじめとする販売高、正組合員数は全国トップクラス。スケールメリットを生かした販売などが期待できる一方、組合員との関係が薄れるとの懸念も強い。大農協構想を取り巻く課題や利点を探った。

◎動きだす大農協(下)一体感

 全国有数のコメどころとされる宮城県北8農協の米穀販売高は、計約320億円(2015年度実績)。県内の68%を占める。全国でトップクラスに位置する農協の米穀販売高は150億円程度。8農協合併後はその約2倍となり、群を抜く規模に膨らむ。

<収量安定をPR>
 「合併が実現すれば、販売高日本一の切り札が手に入るメリットがある」(大和町・あさひな農協理事)。基幹品目のコメは、18年産から国による生産数量目標の配分がなくなる。作付けや米価の動向が不透明になる中、収量の安定確保が可能な産地をアピールできる意味は大きい。
 8農協はスケールメリットを生かし、生産資材の統一化などでコスト低減を進める方針。飼料用米などを含め、銘柄別の作付け誘導や実需者との契約栽培を拡大し、生産サイドにとって有利な販売展開につなげる青写真を描く。
 コメの国内消費量は減少し、産地間競争は激しさを増す。古川農協(大崎市)の佐々木稔組合長は「規模が大きくなれば、信用を得られる。販売などの実績を伴う形にしなければならない」と気を引き締める。

<「他の知恵吸収」>
 新農協の設立で、力を入れる分野に掲げるのが営農指導体制の強化だ。重複する業務の合理化で予算を捻出。各農協の地域ごとに培ってきた品目ごとの専門指導体制を全域に広げ、農業法人や集落営農組織など多様な担い手を支える仕組みづくりを目指すという。
 南三陸町でコメを生産する60代の農家男性は「営農指導で他地域の知恵を吸収できるのは明るい材料だ」と前向きに捉える。トマトやキュウリなどの園芸も域内に点在する産地の連携で、切れ目のない出荷体制の構築に期待が集まる。

<ハードルは山積>
 合併推進協議会の設立後、新たな農協像をつくる作業には越えるべきハードルが山積する。事業計画の策定や本店所在地の決定、各農協の財務状況の確認などを巡っては、8農協間の綱引きも予想される。
 「情報をきちんと公開してほしい」「協議内容を見た上で考えを決めたい」。いしのまき農協(石巻市)の総代らからは今後の過程を冷静、慎重に見極めたいとの声が上がる。
 東日本大震災を経て、新たな一歩を踏み出す8農協。県農協中央会の高橋正会長は「組合員を大事にしながら、各地域の農業がしっかり確立されるモデル的な農協を目指したい」と話す。合併実現目標とする19年春までは2年を切った。


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2017年07月29日土曜日


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