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食で恩返し、南三陸と歩む 和食店再建「親方、待ってました」

再開を果たした店でなじみの客と笑顔で会話する高橋さん(右)

 東日本大震災で被災した宮城県南三陸町志津川の和食店「季節料理 志のや」が28日、被災当時の場所で再オープンを果たした。店ごと津波で流され、九死に一生を得た店主高橋修さん(58)は「やっと日常が戻ってきた。地域とともに歩んでいきたい」と意気込む。
 午前11時に開店すると、早速なじみの客が訪れて「親方、待ってましたよ」と声を掛けた。高橋さんは真新しいカウンターで「おかげさまでまた始められます」と満面の笑みで迎えた。
 高橋さんは15年前、海から約2キロ内陸の場所で店を始めた。「店は人の生きざまを映す」と言い、会話を大事にした客目線の経営を心掛けた。結納の場に使われた際には、目録を書き、時には料理を作りながら司会進行役も務めた。
 2011年3月11日、店で仕込み作業をしていた時に震災が発生。「ここまでは来ないだろう」と2階に避難したが、津波に襲われ、店ごと内陸に1キロほど流された。
 がれきの中から尊敬する当時の消防団長が作ってくれた店の看板が見つかり、奮起。店の跡地に建った仮設の「南三陸さんさん商店街」に参加し、16年末に閉鎖するまで、震災ボランティアや観光客に震災の体験を話すなどして交流を深めた。
 震災後に町に移住した農業藤田岳さん(29)は「高橋さんはよそ者の自分でも温かく接してくれ、相談にも乗ってくれた。自分にとっても頼れる『親方』だ」と話す。
 新しい店は掘りごたつの座敷やテーブルの計66席をそろえる。町名物のキラキラ丼のほか、二つの海鮮丼が食べられる「てんでんこ丼」をメニューに加えた。
 高橋さんは「これまで背中を押してきてくれた人に食で恩返ししたい」と再起を誓う。


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2017年07月29日土曜日


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