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<清月記>被災ビル売買 被害認定引き上げ、契約前に把握か

清月記が購入し、公費で解体された雑居ビルの内部。随所に損傷が確認できたという=2011年4月、仙台市青葉区(画像の一部を加工しています)

 仙台市の冠婚葬祭業清月記が東日本大震災後に購入した雑居ビル(青葉区)の売買契約の経緯について、元所有者の男性が異議を唱えている問題で、市職員らが3回目の調査当日、「半壊」から公費で解体できる「大規模半壊」に引き上げる見通しを立会者に伝えていた可能性が高いことが28日、分かった。調査は契約直前にあり、清月記に近い建設会社役員が立ち会っていた。清月記側だけが認定引き上げを契約前に把握していた疑いが出ている。

 認定変更があった3回目の調査は2012年3月22日に実施された。担当した市職員は取材に「特別な理由がない限り、結果の見通しはその場で立会者に伝えていた」と説明。市の要請で同行した1級建築士も「現地で認定の見通しを伝えていた」と証言した。
 3回目と直前の2回目の調査は午前10時台になされ、いずれも清月記の取引先の会社役員が立ち会った。日中のビルは無施錠で、誰でも出入りできる状態だった。
 本来、立ち会いは元所有者側の委任が必要だが、元所有者は「最初の調査以外、申請も委任もしていない」と主張。市職員は「立会者は作業服姿で、管理人だと思った」と話した。
 建築士は「厳格な基準に基づいて調査した。余震で損壊が進む建物も多く、適正に判断した」と述べ、認定の変更は妥当との認識も示した。
 清月記は自前で解体する「半壊」を前提に12年3月29日、元所有者と売買契約を締結。元所有者によると、ビルと土地の評価額は約2億円。清月記が「解体費がかかる」として1億3500万円で売買が成立した。
 ところが実際の被害認定は契約2日前の同27日、公費で解体できる「大規模半壊」に引き上げられた。清月記は翌4月16日、市に公費解体を申請し、清月記側が負担するとしていた解体費約7600万円は全額公費で賄われた。
 東北大大学院法学研究科の渡辺達徳教授(民法)は「買い主側だけが契約締結前に『大規模半壊』に変わりそうだという情報を知った場合、売り主に対する情報提供義務に違反して安い値段で買ったことになる」と指摘。「売り主が認定変更を知った時期にもよるが、事実関係を証明できれば賠償請求は可能だ」と言う。
 元所有者側は認定が「大規模半壊」に変わった事実を知らされておらず、「詐欺行為に当たる」として清月記に損害賠償を求め、仙台地裁に提訴する方針。


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2017年07月29日土曜日


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