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<日米原子力協定>満期まで1年 再処理工場遠い完成、焦る原燃

定例記者会見で補正書提出時期の延期理由を説明する工藤社長(左)

 核兵器に転用可能なプルトニウムの利用を日本に認めた日米原子力協定が来年7月の満期まで1年を切った。日本原燃(青森県六ケ所村)の使用済み核燃料再処理工場は完成延期を繰り返しており、日本は商用化の「権利」を行使できないまま、期限を迎える。政府は自動延長を軸に交渉を進める方針とみられるが、目標とする「2018年度上期」の完成は厳しく、原燃に焦りの色がにじみ出ている。

 再処理工場は核燃料サイクル政策の要となる重要施設。当初計画は1997年12月完成だったが、15年までの25年間に23回、延期を重ねた。これ以上先送りすれば、組織の存在意義が根本から問われる崖っぷちに追い込まれかねない。
 原燃が現在の完成目標を掲げたのは15年11月。原子力規制委員会による新規制基準による審査に16年度に合格し、17年度に設計・工事の認可、18年度上期までに安全対策工事などを終えるという皮算用だった。
 原燃の工藤健二社長は27日の定例記者会見で「引き続き2018年上期の完成を目指すことは変わらない」と改めて強調したが、現実は原燃の思惑通りに進んでいない。
 再処理工場を巡る新規制基準適合性審査で規制委は5月、原燃の重大事故対策に不十分な点があると指摘し、補正書最終版の出し直しを求めた。原燃は当初、最終版を6月中に示す予定だったが、今月27日になって「8月中」に変更した。
 「現状では目標通りの完成はかなり厳しい」(規制庁担当者)にもかかわらず、工藤社長は強気な態度を崩さない。昨年末には適合性審査を巡り、「あと1回で説明を終えたい」と見通しのないまま公言し、原子力規制庁から「実態を踏まえてほしい」とくぎを刺される場面もあった。
 目標時期にすがるような原燃の姿勢について、大手電力各社でつくる電気事業連合会の関係者は「日米原子力協定を更新するには、再処理事業の実効性や計画性を示さなければならないのでは」と推し量る。
 協定は、日米のいずれかが文書で通告すれば期限切れで失効するが、自動延長もあり得る。一方、再処理で抽出したプルトニウムを利用する高速増殖炉計画が頓挫した上、再処理工場の完成見通しが立たない状況は、国際社会の批判を招きかねない。
 原子力政策に詳しい長谷川公一東北大大学院教授(環境社会学)は「再処理事業撤退論が政府や政権与党から浮上するのを原燃は恐れているはず。トランプ政権の出方は分からない。撤退論を押さえ込むためにも、原燃は完成時期にこだわっているのだろう」と説明する。

[日米原子力協定]核燃料の調達や再処理、原子力技術の導入などに関する日米間の取り決め。非核保有国の中で唯一、日本に再処理事業を認めた。濃縮ウランを提供する米国が日本を規制できる仕組みになっている。1955年に締結し、日本に再処理の権利を認めた現協定は88年に結ばれた。有効期限は30年。2018年に更新期を迎える。


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2017年07月30日日曜日


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