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<松川事件>記憶遺産への推薦見送り 福島大「残念、評価分析したい」

松川事件に関する資料を広げる伊部氏=29日、福島市の福島大松川資料室

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の日本国内委員会は28日、戦後最大の冤罪(えんざい)事件とされる「松川事件」の関連資料など公募で寄せられた3件について、ユネスコの「世界の記憶」(世界記憶遺産)アジア太平洋地域版への2018年の登録審査に向けた推薦を見送ると発表した。

 松川事件は、福島大が「松川事件・松川裁判・松川運動の資料」として応募。資料を所蔵する同大松川資料室を管理する伊部正之名誉教授は「残念だ。ただ資料の意義や価値を見直すきっかけになった」と申請自体を前向きに捉えた。
 国内委は候補3件を世界的重要性などの選考基準に照らして審査。総合的に評価した結果「推薦すべき物件がないとの判断に至った」と公表した。具体的な理由は明らかにしていない。
 松川事件は1949年8月17日未明、福島市松川町の東北線で列車が脱線、転覆し、機関士ら3人が死亡。旧国鉄などの労働組合員ら20人が逮捕、起訴され、二審で死刑4人を含む計17人が有罪判決を受けた。その後、被告の冤罪を示すメモが見つかり、61年の高裁の差し戻し審で全員に無罪が言い渡され、63年に確定した。
 福島大はNPO法人福島県松川運動記念会(福島市)などによる「登録を推進する会」と連携。事件発生から70年の節目に向けて認定を目指していた。
 今年5月に申請した資料は、所蔵する約10万点のうち約400点。蒸気機関車の写真や裁判資料、冤罪の証拠となったメモのほか、元被告の救済を求めて全国展開された松川運動の記録も含めた。
 関係者は近く、今後の対応を検討する方向。伊部氏は「同じ形で再申請しても展望は開けないだろう。どう評価されたかなど分析、反省したい」と語る。
 「世界の記憶」にはユネスコ本部認定の世界版と、各地域委員会認定の地域版がある。
 見送られた他の2件は「伊能忠敬測量記録・地図」と「画家加納辰夫の恒久平和への提言 フィリピン日本人戦犯赦免に関わる運動記録」。


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2017年07月30日日曜日


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