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<災害住宅と地域>合意形成手探り 補助金巡り溝も

仙台市内の災害公営住宅や周辺地域の自治会長らの情報交換会。住民交流の課題などを話し合った=28日、仙台市青葉区の市福祉プラザ

 東日本大震災に伴う災害公営住宅の整備が進んだ自治体で、入居した新住民と元々の地域住民との関係づくりが課題となっている。交流が進む地域がある一方、あつれきが生じた地区も少なくない。仙台市内では震災後の地域づくりに対する補助金が原因になったケースもみられ、コミュニティー形成を巡る行政の支援の在り方が改めて問われている。(報道部・菊池春子)


<使途「頭越し」に>
 「被災し苦労して、やっと住まいが落ち着いたのに。反目し合うのは悲しい」。仙台市内の災害住宅の入居者は打ち明ける。
 入居者らは2015年に引っ越し後、地元町内会に加入した。行事などで交流は進みつつあったが昨年、転機が訪れた。
 町内会などで構成する団体は、災害住宅のある地域の住民活動を後押しする宮城県の「地域コミュニティ再生支援事業補助金」を申請。団体は地域の将来を考え防災訓練などの活動費に充てた。
 一部入居者からは「災害住宅があるからこその補助金なのに、(使途を)頭越しに決められた」との声が上がった。町内会側は「同じ地域の一員としてやっていこうと努めてきた。感情的に折り合わないのは残念だ」と肩を落とす。
 補助金で両者に溝が生じ、一時は一部入居者が独自の自治活動を模索する動きにもなった。町内会関係者の一人は「補助金申請の前に、より丁寧に説明していればという思いはある」と漏らす。新旧住民の融和を図る補助金が分断を招いては本末転倒だ。

<難しいバランス>
 同補助金の申請は、災害住宅の整備が早かった仙台市内の団体が先行し、地域の催しなどに活用されている。県内他地域の申請は今後増える見通しで、県は17年度、前年度の2倍の120団体以上の申請を見込む。「同じ事態が起きないとは限らない」と前出の町内会関係者は危惧する。
 県地域復興支援課は「使途を考える過程もコミュニティーづくりの一環」として扱いを地域に委ねる。ただ「『いつまでも被災者優先でいいのか』という声も一部住民にある。バランスが難しい」と明かす仙台市の別の自治会長もいる。
 こうした状況を受け、県は「新旧住民が混在する地域では特に、十分な合意形成ができているか注意を払いたい」と言う。
 被災地のコミュニティー問題に詳しい東北学院大地域共生推進機構の本間照雄特任教授(福祉社会学)は「住民が顔を合わせる機会をつくるために資金は必要だが、活用の仕方によってはマイナスも生じる。行政は金を出すだけでなく丁寧なコーディネートが必要だ」と指摘する。

[地域コミュニティ再生支援事業補助金]東日本大震災後の新たな地域コミュニティー機能の強化を目的に、宮城県が2015年度に創設。復興基金を財源に、災害公営住宅や防災集団移転団地を含む自治会などに最長3年間、世帯数に応じ年間最大200万円を補助する。


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2017年07月31日月曜日


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