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<清月記>元所有者と主張真っ向対立

仙台市が発行した「大規模半壊」の罹災証明書。契約直前に被害認定が引き上げられた

 仙台市の冠婚葬祭業清月記が東日本大震災後に購入した雑居ビル(青葉区)の売買契約を巡る問題で、元所有者側と清月記側の主張が真っ向から対立している。誰がどのような意図で契約直前に「大規模半壊」に至る調査手続きを進めたのか−。依然、詳しい経緯は不透明なまま、解明の舞台は法廷に移る見通しだ。

 元所有者と清月記の主な主張は表の通り。元所有者が「半壊」の認定を得た最初の調査を除き、以後の調査申請や立会者への委託の有無など、両者の言い分に大きな隔たりがある。
 建物の被害調査は、震災発生時の所有者か代理人しか申請できない。元所有者は2011年8月に「半壊」(損害割合24%)の被害認定を受け、「その後、調査の申請や委任はしていない」と話す。
 市は12年3月6日に2回目、同22日に3回目の調査を実施。建物の損害割合は最終的に41%に上昇し、認定は契約2日前の同27日、公費で解体できる「大規模半壊」に引き上げられた。

<市に記録なし>
 再度の調査申請は電話でも可能で、厳密な本人確認もなかった。市は実際の申請者について「受け付けた際の記録がなく、特定できない」としている。
 2、3回目の調査には清月記と取引がある不動産会社と建設会社の役員2人が立ち会っていた。清月記の菅原裕典社長は「元所有者から委任を受け、不動産会社役員が全て手続きをした」と説明し、元所有者は「面識すらない」と否定。市も2人の氏名や所属を把握していなかった。
 菅原氏が「全て任せていた」とする不動産会社の役員は「曖昧なことは話せない」と答え、真相はやぶの中だ。

<解体は公費で>
 清月記は翌4月16日、「大規模半壊」の罹災(りさい)証明書を添付し、市に公費解体を申請した。通常、証明書は市から直接、調査の申請者に送られるが、元所有者は「受け取っていない」と断言。菅原氏は「市に聞いてほしい」と述べる。市が発送先を記録した帳簿は保存期間が1年のため、現在は残っていないという。
 清月記は二つの調査直後の3月29日、(1)被害認定は「半壊」(2)清月記が建物を解体−などの条件で元所有者から建物と土地を購入する契約を結んだ。土地の評価額約2億円に対し、契約額は1億3500万円。解体は市が行い、約7600万円が公費で賄われた。
 調査を担当した市職員や建築士は「通常、被害認定結果の見通しは立会者に現場で伝えていた」と証言した。契約前に清月記側だけが認定の変更を知り、元所有者に対する情報提供義務に違反した疑いもある。
 元所有者は「震災復興のための制度が悪用された可能性が高い」と不信感を募らせ、8月中にも損害賠償請求訴訟を仙台地裁に提起する方針。
 清月記は14年12月、業務提携する同業他社所有の隣接地とビル跡地を交換し、現在は同業他社が運営する葬儀場が立っている。


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2017年08月01日火曜日


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