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<岩手・住田町長>前例とらわれず後方支援

◎震災時に木造仮設住宅を整備/多田欣一町長に聞く

 岩手県住田町の多田欣一町長(72)が4期16年の任期を終える。東日本大震災では、町の基幹産業である林業に着目して木造仮設住宅の整備を断行した。4日の退任を前に、自治体の備えや後方支援の在り方を聞いた。(聞き手は大船渡支局・坂井直人)

 −専決処分でいち早く木造仮設住宅の整備を決断した。
 「災害救助法は県が被災地に仮設住宅を造るとしていたが、そもそも沿岸の被災地には用地がなかった。需給調査には時間もかかる。助かった人たちに一日でも早く普通の生活を提供しなければならなかった」
 「法律が大規模災害を想定していないなら、それに縛られず、被災者の助けになることは国や県に叱られてでもやるべきだと考えた」

 −得られた課題と教訓は。
 「木造仮設住宅の整備費は1戸当たり250万〜300万円で、プレハブより安く仕上がった。一方で、断熱材やアルミサッシを入荷するのに時間を要した」
 「木造仮設住宅を全国10〜20カ所に備蓄し、災害時に素早く建設できるようにすべきだ。国にも要請しているが、まだ実現していない」
 「仮設住宅の入居期間は原則2年だが、震災では入居期間が長期化している。住み心地のいい木造仮設住宅は、日本の資源の有効利用にもなる」

 −陸前高田、大船渡両市といった沿岸被災地の後方支援にも尽力した。
 「町内のスーパーやガソリンスタンドも物資が不足したが、入ってくる救援物資は被災地や避難者向けだった。防災計画は、近隣自治体の被災も念頭に策定すべきだろう」
 「被災地には応援職員の滞在先がなかった。町職員なら現地に通えるし、地理も分かるが、小規模自治体なのでそれほど被災地に職員を派遣できなかった。より外縁の自治体が、(被災地の)後方支援に当たる自治体を支援するのも一つの方法ではないか」

[ただ・きんいち] 1945年岩手県住田町生まれ。東京農大卒。72年に住田町職員となって総務課長などを歴任。2001年に町長就任。


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2017年08月01日火曜日


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