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<秋田竿燈まつり>大雨被害で一時は不参加検討 ベテラン審査員、まつりを再起の力に

思い出の詰まった写真を眺める工藤さん

 秋田市で3日開幕する秋田竿燈まつりを特別な思いで迎える人がいる。同市雄和新波の工藤一紘(かずひろ)さん(73)。竿燈の差し手が技を競う「妙技大会」の審査を通して長年関わり、今年は6日の決勝の審査員を務める。7月22〜23日の大雨で自宅が床上浸水し、竿燈の資料などが水に漬かった。一時は審査への不参加を考えたが、まつりを再起への力に変えようと思い直した。

 妙技大会は夜の祭りとは別に日中行われ、4、5の両日に予選がある。差し手たちが型の美しさや安定した姿勢などを競い合う。
 工藤さんは秋田和洋女子高(秋田市)で国語教師をしていた約20年前、当時の竿燈会会長の故黒沢光兼さんと出会い、妙技大会の審査員を務めるようになった。退職後も審査員をする傍ら、郷土芸能や郷土文学を研究。現在はあきた郷土芸能推進協議会(秋田県羽後町)の会長を務める。
 今回の大雨では7月23日未明、消防団の呼び掛けで、自宅に近い市の施設に妻や娘らと共に避難。翌24日午後、自宅に戻ると、1階は約75センチの高さまで浸水していた。生活用品や家財道具だけではなく、苦労して収集してきた文学資料や思い出の写真、竿燈ばやしなどを録音したテープも水に漬かった。
 「どれも人生をかけて集めてきた大切な財産。悔しい」
 片付けに追われるうちに疲労感と虚無感に襲われた。妙技大会決勝の審査も不参加を考えた。
 心境が変わったのは、開幕が2日後に迫った今月1日。ボランティアと写真の洗浄や整理をしていた時だった。写真を見ているうち、教え子や家族との大切な思い出がよみがえってきた。同時に、ある思いがこみ上げてきた。
 「祭りに参加すれば、心の空白を埋めることができるのではないか」
 自宅は水に漬かった1階の家財道具を外に運び出した状態で、2階で暮らす。
 「日常生活に戻るまでには、まだ時間がかかると思う」と工藤さん。「それでも、審査に参加することを前に進むきっかけにしたい」と話す。


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2017年08月03日木曜日


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