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<杜の都のチャレン人>あいさつで築く信頼

校門前で生徒らに声を掛ける岡本さん。「つえを突くような年になっても立っていると思います」という

◎子どもたちへの声掛け運動を続ける 岡本浩行さん(56)

 「おはようございます」
 仙台市若林区の沖野中(生徒426人)。午前7時半から1時間、正門の前に立ち、登校する生徒たちにあいさつする。元気な返事をくれる女子、小声で応える男子、目顔で済ませる子、全く無視する子−。相手の反応にかかわらず、笑顔で繰り返す。
 「無視は『意識している』という印。大丈夫、子どもたちには届いています」と目を細める。
 名付けて「何? あのオヤジ? 勝手にあいさつ運動プロジェクト」。2014年8月から毎週2、3回のペースで始めた活動は、もうすぐ300回に達する。
 男女5人の父親。末の娘が沖野中1年の時、東日本大震災に遭遇した。住民として避難所運営に関わり、住民同士の気配り不足や連携の拙さを経験。「もっとうまくできるはずだ」との思いが募った。
 13年、娘が入学した高校で出会った校長の姿に驚いた。毎朝校門の前に立ち、生徒ばかりか、前を通る近隣住民にまで声掛けする。あいさつをきっかけに学校、PTA、地域の間に信頼関係が生まれ、一体感を帯びていく過程を目にし、コミュニケーションの重要性に気付かされた。
 「沖野でもやろう」。周囲の冷めた視線をよそに、校門前に立った。最初は遠慮がちだった教員や生徒らも、今では一緒に並ぶ。危険か安全か、信頼できるかできないか−。「全てがあいさつから始まることに気付いてほしい」
 「こんばんは。俺、沖中です」。先日、市内の繁華街で突然、卒業生の男子から声を掛けられた。うれしかったが、「まだまだ」とも感じている。子どもや弱者の声を受け止められる大人に、一人でも多く育ってほしい。だから、やめられない。
 「おはようございます」。9文字に思いを込めて、立ち続ける。
(や)

<おかもと・ひろゆき>61年仙台市生まれ。五城中、宮城県工高卒。元市PTA協議会副会長。会社勤務の傍ら同市若林区沖野で、地域と小中学校一体で活性化に取り組む「いなごクラブ」の企画・運営にも携わる。若林区在住。


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2017年08月05日土曜日


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