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<仙台地裁>刑事事件の容疑者や被告の勾留「認めず」 10年前の6.6倍

 刑事事件の容疑者や被告の勾留について、仙台地裁が検察官の勾留請求を却下した割合(却下率)が2016年は14.6%(速報値)となり、10年前の6.6倍になったことが同地裁への取材で分かった。却下率は近年、全国的に上昇傾向にあるが、同地裁は全国平均を大幅に上回り、厳格化の流れを先取りしている。司法関係者は、自白しない限り身柄を拘束する「人質司法」の是正につながると評価する。
 過去10年の却下率の推移はグラフの通り。仙台地裁管内では16年、勾留請求308件中、45件(14.6%)が却下された。10年前に比べ大幅に上昇し、全国平均(6.8%)の2.1倍となった。
 却下率は長年、ゼロから数%で推移してきた。上昇した背景には、ここ数年来の新制度の導入がある。
 容疑者の段階から国選弁護を受けられる制度が06年に始まり、弁護側が軽微な事件などの勾留に「待った」をかけるケースが相次いだ。09年の裁判員制度導入を前に「被告が弁護側と意思疎通する機会を十分に確保すべきだ」との機運が高まったことも一定の影響を与えたとみられる。
 流れを決定付けたのは14年11月。痴漢の疑いで逮捕された男性の勾留を認めた京都地裁決定を、最高裁が取り消した。男性は容疑を否認していたが、最高裁は「証拠隠滅の現実的な可能性で(勾留の必要性を)判断すべきだ」と初めて明示し、安易な勾留に警鐘を鳴らした。
 仙台弁護士会の阿部潔刑事弁護委員長は「不当な身柄拘束が自白の強要や冤罪(えんざい)を生んできた。裁判所が『勾留は原則ではない』という意識に変わった」と歓迎する。
 龍谷大の福島至教授(刑事訴訟法)は「却下率が1割を超えるのは全国的にも珍しい。(仙台地裁は)厳格化が進む全国的な流れを先取りした」と指摘。重大事件では今も身柄拘束があり、大きな弊害は生じていないとした上で「否認すれば長期間拘束される『人質司法』と呼ばれた時代が是正されつつある」との見方を示した。

[勾留]逮捕された容疑者の身柄を刑事施設内で拘束する処分。容疑者が証拠を隠滅したり、逃亡したりする恐れがある場合などに検察官が請求し、裁判所が必要性を審査する。期間は10日間。複雑な事件などやむを得ない場合は最大10日間延長できる。起訴された場合、判決まで長期間の勾留が続くこともある。


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2017年08月06日日曜日


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