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<この人このまち>ワイン造り古里に還元

◎合同会社 東根フルーツワイン代表 阿部利徳さん

 東根市に昨年、山形県内で13番目のワイナリーが誕生した。看板商品は市特産の果物を使ったフルーツワイン。山形大農学部教授を定年退職したのを機に、古里で始めたユニークなワイン造りについて、合同会社「東根フルーツワイン」代表の阿部利徳さん(69)に聞いた。(山形総局・阿部萌)

 −ワイン造りを始めたきっかけは。
 「大学の専門は植物遺伝、育種学でした。改良した酒米できちんと酒ができるかどうか確認するため、試験製造免許を取って日本酒を造ったことがあります。結構おいしくでき、退職して酒造りを極めたいという気持ちが湧きました」
 「ただ、酒蔵を立ち上げるのは難しいですし、東根市出身ということもあって、せっかくなら特産の果物を使ったワインを造ろうと思い立ちました」
 −現在はどのようなワインを造っていますか。
 「サクランボやリンゴ、ブドウなど7種類。原料は全て東根市産でサクランボは佐藤錦、紅さやか、ナポレオンの3種類です」
 「フルーツワインと言えば甘いものが一般的ですが、うちのワインは甘さ控えめでまろやかさがあるのが特徴です。果物本来の味を楽しんでもらいたいです」
 −規格外の果物も使っていると聞きました。
 「収穫が遅くなるなどして熟し過ぎた佐藤錦を使うことがあります。紅さやかは提携農家が受粉樹として育てている木から、自分たちで収穫しています」
 「サクランボは、同じ品種の花粉を受粉しても実がなりません。紅さやかも甘みは十分ありますが、人気品種の佐藤錦のための受粉樹なので、繁忙期になると農家の手が回らず実が収穫されないことがあります。ワインにすれば生かすことができる。一転して価値が生まれるのです」
 −ワインの成分分析もしていますね。
 「例えば、一般的なブドウのワインと比べ、サクランボのワインはアミノ酸の一つで疲労回復に効果のあるアスパラギンが多く含まれます。こういう特徴は調べてみて初めて分かったことです。健康に良いという話を聞き、買いに来てくれるお客さんもいます」
 −今後の目標は。
 「もっとフルーツワインを普及させたいと思います。東根市に貢献と言うとおこがましいですが、ワイン造りを通じて地元に何か還元できればうれしいです」

[あべ・としのり] 1948年東根市生まれ。名古屋大大学院博士課程満期退学。山形大を2013年に定年退職。16年に合同会社東根フルーツワインを設立。山形大農学部客員教授も務める。


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2017年08月07日月曜日


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