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<岩手・遠野>道の駅拡充計画に疑問の声 巨費投入も効果薄?

遠野市が機能拡充を目指す道の駅「遠野風の丘」

 岩手県遠野市が約10億7300万円をかけて道の駅「遠野風の丘」の機能を拡充する計画に、一部で疑問の声が上がっている。付近を通る東北横断道釜石花巻道路が区間開通した2015年12月以降、道の駅周辺の交通量は4割も減少した。道の駅再整備に巨費を投じる一方、落ち込みが続く観光客数の回復策は有効なロードマップを描けずにいる。(釜石支局・東野滋)

◎観光客右肩下がり「誘客策も必要では」

 道の駅は、20年度までに出入り口の増設や駐車場の拡張、既存建物の改修、防災機能の強化を進める計画だ。本年度は、駐車場造成の設計費など約7750万円を計上した。
 矢継ぎ早の整備の背景には、東北道と三陸沿岸道路を結ぶ釜石花巻道路が18年度に全線開通すると、観光客が市内を素通りしてしまうのではないかという危機感がある。

<「目的地化」を>
 市地域開発戦略推進室の村上明洋室長は「車の流れの変化は予測しにくいが、後手に回ってはいけない。リニューアルで道の駅の『目的地化』を一層進め、人を呼び込むことが必要だ」と力説する。
 周辺交通量が4割減少したのに対し、道の駅の物販売上額は1割減にとどまった。このため市は、道の駅が既に「目的地化」を一定程度果たしており、てこ入れ次第で集客力の向上は十分可能と分析する。
 ただ、財源に充てる国交付金の具体的な調整はこれから。数億円規模の自己負担も見込まれる計画には、市民の賛否も割れる。
 ある市議は「市内への観光客が増えれば、結果的に道の駅の利用者も増加するはず。施設整備を先行させるのではなく、誘客策と組み合わせたハード、ソフト両面の施策が必要ではないか」と問題提起する。
 風光明媚(めいび)な観光地のイメージが強い遠野だが、東日本大震災などの影響で近年は右肩下がりだ。道の駅を除いた観光客数は、ピークだった10年度の約65万人から16年度は約45万3000人と、3割も減った。

<経営改革の中>
 市は06年度策定の観光推進計画で全市的な観光振興の組織づくりを掲げたが、実現には至っていない。今後厳しく問われそうなのが、道の駅など主要な観光施設を複数運営する第三セクター遠野ふるさと公社の在り方だ。
 公社が指定管理する観光施設「遠野ふるさと村」「伝承園」「たかむろ水光園」は近年、来場者の減少傾向が続く。各施設の集客を強化し、道の駅に立ち寄らせることが、再整備の効果を高める上で欠かせない。
 その公社は14年度決算で過去最大の約4000万円の赤字を計上し、経営改革のただ中にある。市は15年度から指定管理料を前年度比11倍超の約3700万円に増額して支払っているが、公社の累積赤字は3174万円に達する。
 市は16年度、金融機関から人材を得て三セク支援の担当部長を新設。公社も本年度、(1)各施設が具体的な事業実施計画を作って成果の検証と改善を徹底(2)指定管理する盛岡市のアンテナショップを活用した観光情報発信−などを推進する。
 公社の菊池美之(よしゆき)常務理事は「道の駅と観光施設を預かる以上、遠野への観光客を増やす責任が公社にはある。各施設の魅力アップを図り、誘客と経営強化を目指す」と強調する。

[道の駅「遠野風の丘」]岩手県遠野市綾織町の国道283号沿いに1998年6月オープン。2016年度の入場者数は前年度比10.4%減の88万1324人。東日本大震災では後方支援の拠点になった。15年1月には、地域活性化に大きな役割を果たす道の駅の「全国モデル」に認定されている。


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2017年08月10日木曜日


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