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帰還住民と復興従事者、小料理屋を交流の場に 千葉出身の女性が楢葉に開業

「人と話したいときに行きたい店にする」と語る古谷さん

 東京電力福島第1原発事故に伴う避難指示が2015年9月に解除された福島県楢葉町で、千葉県佐倉市出身の古谷かおりさん(33)が小料理屋「結(ゆい)のはじまり」を開業した。目指すのは、帰還した町民と復興事業に携わる新しい住民との関係づくり。「顔の見える交流の場を提供し、笑い合える地域となるお手伝いをしたい」と意気込む。
 店は7月下旬、山田岡地区の民家に併設されたスナックだった店舗を借りてオープン。従業員と2人態勢で、飲み物1杯と家庭料理の晩酌セットを中心に提供する。帰還住民が人口の2割強の約1700人にとどまる町内で夜に飲酒できる店は珍しい。
 古谷さんは東日本大震災発生時、東京都内の住宅関連会社に勤めていた。「被災者の暮らしの再建に役立つ仕事がしたい」と夜間学校で2年間建築を学び直した後、復興人材の育成塾に参加して福島県に通うようになった。
 除染、廃炉事業に携わる人が土地に愛着を持てないまま数多く滞在する一方、住民は目にする作業服姿に漠然とした不安を抱く状況に衝撃を受けた。「溝を埋められないか」。思い付いたのが、人と人をつなぐ飲食店の経営だった。
 出店場所は地元住民と親交のあった山田岡地区を選んだ。町内居住者はまだ少なく、安全面や採算性から「やめた方がいい」と忠告を受けたが、決意は揺るがなかった。民間団体の助成金も後押しとなった。
 「近所同士が気にし合い、助け合う地域。溶け込みたい人と受け入れたい人が出会う場になればいい」
 「自分探しをしていた私にこの地がチャンスをくれた」との思いもある。感謝のおもてなしで店を軌道に乗せるのが当面の目標だ。
 25日までは予約制で営業する。営業時間は午後5〜10時で定休は月・火曜日。


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2017年08月10日木曜日


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