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<復幸の設計図>女川・公民連携の軌跡 第2部・再生(2)循環と持続へ、自力で稼ぐ

「あがいん おながわ」の商品が並ぶあがいんステーションの店内

 東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城県女川町で2012年9月、新たな町づくりを目指して「復幸まちづくり女川合同会社」が誕生した。設立に加わった6人はいずれも被災事業者だ。
 合同会社の資本金は、それぞれが小遣いの範囲で持ち寄った計30万円。町内の2団体と共同で間借りしたプレハブを拠点に、事業をスタートさせた。
 <津波被災は不幸な出来事だったが、これを機に産業構造の転換を図り、次代の子どもたちに負担を掛けることのない持続可能な循環型まちづくりを行う>
 設立趣旨には、若き経済人たちの覚悟がにじむ。
 基幹産業の水産業を活用して町を立て直すべく、事業の2本柱として(1)水産加工品のブランド化と販路拡大(2)水産業の体験プログラムの提供−を据えた。

 被災地で動きだした新たな活動には多くの支援が寄せられた。
 水産加工などの特産品を販売し、水産業体験もできる拠点施設「あがいんステーション」はキリングループと日本財団の「復興応援キリン絆プロジェクト」の助成金を活用した。
 事業の実動部隊となる人材も必要だった。県の復興応援隊事業と、民間企業などの人材を被災地に派遣する「WORK FOR 東北」事業により確保できた。
 代表社員の阿部喜英(49)らが見据える先には、人口減少に耐えうる確かな地域の将来像が描かれていた。「外から人を呼び込んで『外貨』を獲得して域内経済を回し、自力で稼げる事業スキームをつくる」
 震災で多くを失った町民一人一人が、それぞれの幸せを取り戻す「復幸」を成し遂げたい。そのためにはまず、自分の足で立たなければならない−。震災直後に町復興連絡協議会(FRK)を発足させ、将来の町の姿を議論してきた女川人の気概が、まちづくり会社にも受け継がれている。

 町などと連携した統一ブランド「あがいん おながわ」を開発。15年のJR女川駅開業に合わせ、新しい土産物ブランド「碧(あを)のか」を発売した。
 第1弾はホヤを使った加工品4種。まちづくり会社の業務執行役員に名を連ねる2社が商品を開発し、製造する。商品は町内のほか仙台駅構内などでも販売されている。
 「女川の魅力的な資源と外部をつなぐ、地域商社のような役割を果たすことができたのではないか」。阿部は手応えを感じる。
 県の復興応援隊事業は昨年度で終了し、まちづくり会社は本年度、本格的に自走し始めた。
 人や資本が循環する持続可能な町。拠点「あがいんステーション」で実践するまちづくり会社の理念は、15年12月に開業した商業エリア「シーパルピア女川」の運営会社にも引き継がれている。(敬称略)


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2017年08月10日木曜日


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