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<鳴子温泉物語>湯治や里山 なお魅力

地場産のブルーベリーでおやつを作る長谷さん親子。左は鈴木さん

◎再生への岐路(3)外の目

 江戸時代中期から戦前にかけ、大崎市の鳴子温泉郷は湯治の里としてにぎわった。湯はもちろん、景観や人情といった地域資源は時代を超えて生き続ける。

<体験会で縁結ぶ>
 鳴子地区で7月下旬、地域団体「さとのわ」が企画した「ブルーベリーでおやつを作る会」があった。
 「見て見て。こんなに取れたよ」。東京から訪れ、ブルーベリーの摘み取りを体験した長谷菊治郎ちゃん(4)の声が弾む。「きく、すごいね」。グループ代表の鈴木美樹さん(52)が笑顔で応じた。
 菊治郎ちゃんは生後3カ月の時から年数回、母知穂さん(44)、姉小夏さん(9)と鳴子を訪れる。今は親戚の家に遊びに来たような打ち解けぶりだ。
 家族と鳴子の縁は知穂さんが、さとのわ主催の湯治体験会に参加したのが始まりだった。自然、食べ物、人情に触れ、「地元の人には何のことはないものかもしれない。でも、東京に戻ったら、当たり前ではないと気付いた」。
 さとのわの鈴木さんは2010年、25年勤めた東京のアパレル会社を辞めて移住した。きっかけはやはり湯治。抱いた印象は知穂さんと同じだった。
 「里山と街を輪でつなぐ」をテーマに、旬の食材を使った定食などを提供する「里山カフェ」を13年に開設した。各種体験会を催し、鳴子の魅力を発信する。
 初年度に640人だったカフェの来客数は16年、1710人に増えた。仲間も広がり、「やってきたことは独り善がりではなかった」と実感する。

<「古里への憧れ」>
 湯治は、鳴子の過去と未来を語る上で重要なキーワードだ。1970年代にホテルが増え昔ながらの湯治客は減ったが、東鳴子、川渡、中山平の3温泉は湯治場の雰囲気を今に伝える。
 東大の学生がつくる温泉サークル「OKR(おける)」は、鳴子の湯治を現代によみがえらせる活動を展開している。
 今年9月、大学生ら約30人を集め2泊3日のモニターツアーを組む。提案するのは「癒やされ、地元の人と仲良くなり、また行きたくなる旅」。地元住民団体と郷土料理を作るなど交流の機会を盛り込む。
 東京で生まれ育ったOKR代表の比護祐介さん(20)=経済学部3年=は「人間関係が希薄な環境で育った若者は、古里への憧れがある。日々のストレスから心と体を解放するため、ふらりと湯治に行く文化を同世代に広めたい」と語る。
 宿泊客の減少や過疎化にあえぐ鳴子温泉。「外の目」から見れば、その魅力はなお、色あせていない。

<鳴子温泉物語・1>高い稼働率 参入奏功
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201708/20170814_12037.html
<鳴子温泉物語・2>放漫経営で旅館激減
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201708/20170814_12038.html
<鳴子温泉物語・3>湯治や里山 なお魅力
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201708/20170814_12039.html
<鳴子温泉物語・4>目玉づくり 有志奮闘
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201708/20170814_12040.html
<鳴子温泉物語・5>若手経営者が行動を
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201708/20170814_12041.html


関連ページ: 宮城 経済

2017年08月12日土曜日


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