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<非正規雇用>無期転換トラブル法廷闘争 嘱託職員2人「立場の弱さ痛感」

女性2人が労働審判を申し立てた仙台地裁。雇用の安定を目指した法改正の趣旨が問われている

 雇用の安定を目指した法改正が、逆に雇用の危機を招いた。「まさか自分が雇い止めに遭うなんて…」。宮城県内の私立大に勤務していた40代の女性嘱託職員2人が今春、仙台地裁に労働審判を申し立てた。和解は成立したが、女性側は「非正規雇用の立場の弱さを痛感させられた」と法廷闘争を振り返った。

 申し立てによると、2人は今年1月末、大学側から突然「嘱託職員の雇用を改め、公募で採用し直す」などと説明された。2人は単年度の契約更新を重ね、既に勤続5年に達していた。例年、12月ごろに再契約を打診され、2017年度の更新も信じていたという。
 大学側は公募に際し、「週5日勤務」を条件にした。2人はこれまで通り「週4日」を希望したが、「条件を満たさない」と不採用になった。
 背景にあるとみられるのは新制度の「無期転換ルール」だ。有期労働契約が通算5年を越える場合、2018年4月以降、無期雇用を申請できるようになる。
 仙台労基署に相談すると、無期転換ルールの存在と違法な雇い止めの可能性を示唆されたという。2人は3月末、労働審判を申し立て、内容を非公表とする条件で6月に和解した。
 「突然、雇い止めに遭えば再就職の準備もできない。せめて適切な時期に誠実な説明がほしかった。非正規雇用の立場は本当に弱い」。2人は法廷闘争を終え、心境をこう語った。
 同様の問題は各地で表面化し、労使間の団体交渉などが始まっている。
 東北大では非正規職員3243人が来年度以降、雇い止めに遭う恐れがある。同大は14年3月、雇用期間を最長5年に改め、13年4月にさかのぼって適用することを就業規則に盛り込んだ。後に期限を定めず、業務や勤務時間に制限がある「限定正職員」制度の導入を提案したが、採用規模は明らかにされておらず、全員採用される保証はない。
 同大職員組合の小野寺智雄書記は「法改正は不安定な有期雇用を安定した無期雇用に転換する趣旨なのに、雇用主側に都合のいいように制度が悪用されている」と批判する。
 労働問題に詳しい太田伸二弁護士(仙台弁護士会)は「無期転換ルールは周知が進んでいない。予期せぬ雇い止めが多発する恐れがあり、雇用主と労働者が早急に話し合いの場を設けるべきだ」と呼び掛けている。


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2017年08月16日水曜日


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