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<和牛の頂点へ>肥育の誇り 父から子に

出品する咲花号を見つめる高橋さん

 全国の銘柄牛が一堂に集い、仙台市宮城野区の夢メッセみやぎ、市中央卸売市場食肉市場で9月7〜11日に開催される第11回全国和牛能力共進会(全共)宮城大会が約1カ月後に迫った。最終選考を勝ち抜いた各出品区の県代表は悲願の「日本一」獲得を目指し、最終調整に余念がない。地元開催に懸ける農家やグループの思いを紹介する。

◎全共宮城大会へ向けて(5)高橋猛さん 徹光さん(大崎)

 「地元での大会なので絶対に出たかった」。繁殖から枝肉の質まで生産能力全体を競う「総合評価群」。肉牛3頭のうち1頭を出品する大崎市の高橋猛さん(68)は、島根大会以来30年ぶりの全国和牛能力共進会(全共)出場の喜びをかみしめている。

<背中で模範示す>
 昨年9月にあったプレ全共に出品した牛が下位に沈んだ。「恥をかいた」ことで、気持ちが奮い立った。餌の交換やブラッシングの頻度を高めるなど、今までにも増して手を掛けた。選出基準と想定していた800キロ超の牛を育て上げた。
 高橋さんは婿入りした米農家で畜産を始めた。30代で全共を2度経験したが、その後はなりわいの立て直しに腐心した。少しずつ肥育数を増やし、経営を軌道に乗せ、再び全共を目指せる環境を整えた。
 「『質のいい牛だね』と言われるのがうれしくて、やめられない」。取引先からの一言が、逆境にあっても牛と向き合ってこられた原動力だ。
 数年前から膝が痛む。牛舎での作業がつらくなってきた。代替わりも考え始めている。20年ほど前から、長男の徹光(てつひろ)さん(40)と仕事を共にするが、「責任感がまだまだ足りない」と厳しい。助言はせず、背中で模範を示す。

<「好成績で弾み」>
 徹光さんは県農業大学校(名取市)を卒業後、建築関係の会社勤めを経て父親を手伝い始めた。子どものころ、家の庭で飼っていた牛に関心はなかったが、就農の道を選んだのは自然な流れだった。
 全共への過程で持てた若手農家との交流は徹光さんを刺激した。餌やりのタイミングやビタミンの調整方法。「参考になるアドバイスがたくさん聞けた。良いやり方を少しずつ取り入れたい」と徹光さん。自覚は強まってきた。
 全共は、高橋さんが誇る仕事の魅力を家族に伝える絶好の機会であり、集大成でもある。「日本一になって、子や孫に牛を生産する喜びを知ってほしい」。徹光さんも「家業を守り続けるため良い結果で弾みをつけたい」との思いを強くしている。
 交わす言葉は決して多くないが、父と息子の思いは重なり合い、全国の舞台へと歩みを進めている。(報道部・鈴木悠太)

◎牛政宗の豆知識/39道府県183頭出品

[肉牛の部]枝肉の状態で脂肪の入り具合や肉量、肉の色、締まり具合などを審査する。三つの出品区分があり、39道府県の計183頭が出品を予定する。会場は仙台市宮城野区の市中央卸売市場食肉市場。一般客は見学することができない。


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2017年08月17日木曜日


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