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貞山運河に「みんなの橋」パリ在住美術家が架橋構想

地元住民の話を聞く川俣さん=6日、仙台市宮城野区岡田
川俣さんが描いた「みんなの橋」のイメージ

 東日本大震災で橋が落ちた仙台市宮城野区岡田新浜地区の貞山運河に、被災地支援に取り組むパリ在住の現代美術家川俣正さん(64)が橋を再現する構想「みんなの橋プロジェクト」を進めている。遠回りを余儀なくされた住民のため、対岸に渡る機能を備えた「作品」を数年以内に造る予定だ。
 周辺の橋は北に約1キロ、南に約2キロと離れ、浜に出る住民は大幅な迂回(うかい)を強いられている。川俣さんは本年度、「橋が欲しい」との住民の要望を受けてプロジェクトを始動した。
 木材や鉄を素材に歩行者専用橋を計画。宮城県の貞山運河管理用道路と市管轄のサイクリングロードを結ぶ全長二十数メートルの橋となる見込みだ。6日には現地を訪れ、震災前の街並みをモチーフにした橋の模型を示し、地区住民の意見を聞いた。
 運河の海側に昭和40年代までモーテルがあり、運河をまたぐ橋を架けていた。廃業後も住民が使っていたが震災の津波で落橋。民間所有だったため、行政による復旧の対象外だった。
 新浜町内会の平山新悦会長は「早く造ってもらえればありがたい。橋を見に来る人が増えれば、にぎわいも生まれる」と期待する。
 市海岸公園整備室は「構想とは別に地元の要望を受け、橋を建設するかどうかの検討に着手したところだ」とし、構想はあくまで文化事業の位置付けだ。橋の再現には予算確保や行政からの許可取得といった課題をクリアする必要がある。
 「みんなの橋」は、建築家伊東豊雄さんが設計した集会所「新浜みんなの家」にちなむ。橋の再現予定地はみんなの家と海岸を結ぶ直線上にあり、川俣さんは「みんなの家からみんなの橋を通って海に出られるようにしたい。人々をつなぐ物語を橋に込めたい」と意気込む。
 川俣さんは東京芸大教授を経て現在、パリ国立高等芸術学院教授。アパートや公共施設に材木を張り巡らした作品で知られる。
 貞山運河は阿武隈川河口から旧北上川河口に及ぶ計49キロの運河の総称。明治中期に完成した。


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2017年08月17日木曜日


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