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<秋田豪雨>7割が冠水、まるで河原 それでも…美田よ再び 再生へ踏み出す

石で埋め尽くされ、まるで河原のようになった水田。所有する佐川隆助さんは立ち尽くしていた=15日、大仙市協和稲沢

 秋田県に7月22〜23日に降った大雨で、大仙市北部の協和地区には大きな農業被害が生じた。中山間地にあり、高齢化が進む同市協和稲沢の落合集落は、河川の氾濫で水田36.9ヘクタールのうち約7割が冠水した。近年は水害に繰り返し見舞われており、被害を受けた生産者は営農の継続か断念かで揺れた。「先祖代々の土地をむざむざ放棄したくない」。集落の将来を見据え、行政の支援を受けながら、水田を復旧して再出発することを決めた。(秋田総局・渡辺晋輔)
 隣接する繋川(つなぎがわ)のせきが決壊し、土砂が流入した兼業農家佐川隆助さん(62)の約1ヘクタールの水田。まるで河原のように、無数の石で埋め尽くされていた。水が必要な時期なのに水路は破損し、水田は完全に干上がっている。それでも、残ったイネは花を付けた。
 「おやじとおふくろが手で開墾した場所。それだけに、ショックが大きい」。佐川さんは、水が引いた後に石だらけの水田を見た時の衝撃を振り返る。
 繋川や奥山川など雄物川の支流が交差する落合集落は、2010〜15年に計4回の水害に見舞われた。専業農家元木徳一さん(75)は、繋川の近くに立つポンプ小屋の扉に過去の水害の水位を記録してきた。10年が高さ30センチ、15年は75センチ。今回は桁違いの163センチだった。
 水田から水が引き、倒れたイネが立ち上がっても不安は消えない。「何が入り込んだのか分からず、刈り取り機が故障するリスクがある」。元木さんは被害の大きさを計りかねている。
 「地区で70年間営農したが、見たこともない被害だ」。専業農家佐川淳さん(78)はため息をつく。6.5ヘクタールの農地を所有するほか、代表を務める落合農事研究会では6ヘクタール分の稲作を仲間と請け負っている。
 同集落は、全47戸のうち稲作農家が約半数を占める。被害を受けて、水田をやめたいとの声もあった。「肥料代や農薬代を田んぼにつぎ込んでおり、水害から立ち直るのに5年はかかる」(佐川淳さん)からだ。低迷する米価に加え、主食用米の生産調整(減反)が18年産から廃止される。先行きの不透明さが、営農意欲に影を落とす。
 今月11日夜、佐川隆助さんら被害の大きい稲作農家6人が集まった。県内の農業被害が激甚災害に指定されたことから、国の補助を受けて水田を復旧することで6人の意見がまとまった。「水田をやめると、集落が駄目になる」との意見が大勢を占めたという。
 一時は稲作をやめることを考えた隆助さんも、続けることに決めた。「集落のみんながやるのなら、頑張る」。両親から受け継いだ水田を、このまま終わらせるわけにはいかない。言葉には決意と覚悟が込められていた。


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2017年08月17日木曜日


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