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<和牛の頂点へ>最後の仕上げ 勘と経験

「頑張ろうな」。桃義久号に声を掛ける菅生さん(右)と亮太さん

 全国の銘柄牛が一堂に集い、仙台市宮城野区の夢メッセみやぎ、市中央卸売市場食肉市場で9月7〜11日に開催される第11回全国和牛能力共進会(全共)宮城大会が約1カ月後に迫った。最終選考を勝ち抜いた各出品区の県代表は悲願の「日本一」獲得を目指し、最終調整に余念がない。地元開催に懸ける農家やグループの思いを紹介する。

◎全共宮城大会へ向けて/(6)菅生貞夫さん(川崎)

 夜も明け切らない午前3時ごろ、目が覚める。9月の全国和牛能力共進会(全共)宮城大会に出す「桃義久」の様子が気になって仕方がない。牛舎に行って変わりがないことを確認し、一安心する。
 県代表に決まってから、こんな日々が続いている。

<緊張感と充実感>
 「選ばれるまでも大変だったが、今も大変。他の共進会なら代替がきくが、全共はそうはいかない。プレッシャーは大きいね」。川崎町の菅生貞夫さん(65)の表情は、緊張感と充実感が相半ばする。
 出場する区分は、種雄牛としての能力を測る「後代検定」を受けている若雄が父であることが条件だ。出品牛の父は「好福久(よしふくひさ)」。新しく、若い種雄牛の子は、生育傾向の評価が定まっておらず、育てるのが難しいとされる。
 菅生さんは、県が基幹種雄牛の選抜に向けて現場で実施する後代検定を約7年前から担い、さまざまな種雄牛の子を手掛けてきた。「どういう牛ができるのか。難しいというよりも、楽しみ。いろんなことを考え、勉強にもなる」と話す。
 父親が営んでいた乳牛肥育を一緒にやるようになったのが約40年前。ある共進会でトップとなり、牛飼いの面白さを知った。和牛の肥育に取り組み始めてからは、およそ20年がたつ。
 枝肉評価の世界は、超音波による肉質診断や血液検査など技術の進歩が目覚ましいが、最後の仕上げは生産者の勘や経験が頼りになる。毛の艶、餌の食べ具合などを慎重に見極める。「数字に表れてこない部分をどう作り込むかは、やりがいだね」と言う。

<次男が背中押す>
 全共初出場となる菅生さんの背中を押し続けてきたのが次男の亮太さん(27)だ。5年前に大学を卒業し、迷うことなく就農した。幼いころから「いつかは父の名前で日本一を取りたい」と思い続けてきた。
 毎晩、遅くまで牛舎で働く息子の姿を見て、「あんなに牛が好きなやつはいないんじゃないか」と思うことがある。「手を掛けた分だけ、いいものになる」。息子にも伝えている菅生さんの信念だ。
 良質な牛を育て上げる仕事に終わりはない。「地元で全国の猛者と戦い、評価される。こんなチャンスはない」と全共の舞台を見据える。(報道部・加藤健太郎)

◎牛政宗の豆知識/銘柄牛の試食会も

[一般向けイベント]仙台市宮城野区の夢メッセみやぎに六つのエリアを配置する。全国の銘柄牛肉を味わえる試食会のほか、和牛のPR館を開設。県内の物産販売や県産和牛のバーベキューなど飲食の提供や、震災復興の状況を伝えるコーナーもある。


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2017年08月18日金曜日


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