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<災を忘れず>原発事故の教訓 未来へ

環境創造シアターでは全球形スクリーンに臨場感あふれる映像が映し出される

 地震や風水害などの天災、戦争や市街地の火事といった人災。生死を左右しかねない惨事の発生は人々に大きな衝撃を与えるが、その爪痕や傷痕が歳月の中で癒えるにつれ、風化は進む。「大切な記憶を継承する」。熱い願いが込められた東北各地の施設や地域を紹介する。

◎東北の施設・地域巡り(2)コミュタン福島(福島県三春町)

 住民の暮らしを奪った東京電力福島第1原発事故。事故直後の様子を模型で再現する。水素爆発を起こした1号機は、がれきが積み重なっている。
 事故から6年半近く。廃炉作業の現状はどうか。
 「3号機では使用済み核燃料の取り出しに向け、放射性物質の飛散を防ぐかまぼこ型のカバーを設置する工事が進んでいます」
 現地に足を運んで研修を重ねるスタッフが、来館者に丁寧に説明する。
 オープンは昨年7月。原発事故に関する情報を発信する体験型施設として、福島県が整備した。館内は五つのゾーンに分かれ、事故後の福島の歩みや、放射線などを紹介。タッチパネルで楽しみながら学べる。
 中でも「環境創造シアター」は迫力満点だ。直径12.8メートルの全球形スクリーンが映し出す福島の自然や相馬野馬追など伝統行事、復興への取り組みをまとめた映像は臨場感があふれる。
 自然界の放射線などを観察する「霧箱」もある。大きさは国内有数。箱をのぞくと、放射線が霧状の白い軌跡になって出現する。目に見えない放射線の空中の動きをイメージできる。
 放射線への漠然とした不安は消えない。大山一浩副所長は「福島の現状や放射線について正しく理解することが重要」と語る。
 来館者は1年間で8万人を超えた。県内の学校関係は260団体が訪れた。原発事故は県内の子どもにも「昔」になりつつある。
 「事故当時は小学2年。よく分からなかった」と伊達市伊達中3年の渡辺羽由さん(14)。来場したことで「原発で何が起こったのか理解できた」と話す。
 昨年は自主避難の児童生徒へのいじめが全国各地で表面化した。対応が問題になった横浜市教委は今年、教職員研修の一環で、この施設を利用した。
 原発事故の被害は甚大で、風評や偏見は根強い。「事故の教訓を未来へつなぐ役割も果たしたい」。大山副所長は力を込める。

<メモ>入館無料。開館時間は午前9時〜午後5時。毎週月曜休館。オープン1周年を記念した「発明王エジソン展」を27日まで開催中。連絡先は0247(61)5721。


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2017年08月18日金曜日


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