岩手のニュース

<災を忘れず>水難の記憶 若い世代に

ゲリラ豪雨展を見学する中学生たち

◎東北の施設・地域巡り(3)北上川学習交流館「あいぽーと」(一関市)


 北上川の狭隘(きょうあい)部と支流の作用で、度々大きな水害に悩まされてきた一関市。水難と治水の歴史を伝える国土交通省の北上川学習交流館「あいぽーと」は、国の水害対策・一関遊水地事業で設けられた巨大堤防の上に立つ。
 1947年のカスリン台風、翌48年のアイオン台風で一関市は大きな被害を受けた。カスリン台風から70年となる今年、交流館では被災当時の写真パネル展やゲリラ豪雨展を相次いで企画する。
 8月中の土、日曜はアイオン台風で被災した語り部の講演会のDVDを流し、九死に一生を得た証言を生々しく伝えている。
 「過去には考えられなかった多量の雨が短時間に降り、全国各地で被害が相次いでいる。想定にとらわれることなく避難の意識を持ってほしい」。交流館で見学者を案内する斎藤一公(かずとも)事務局長は話す。
 1階の展示室には豊富な写真資料を展示。砂鉄川などがあふれた2002年の台風6号豪雨をはじめ、一関遊水地が機能した過去の洪水の様子を伝える。縦20メートル、横6メートルの北上川流域の航空写真の上を歩く「空中散歩」も人気だ。
 3階の展望室に上がると、一関遊水地に広がる田んぼと、鉄道橋としては国内最長の東北新幹線第1北上川橋りょう(3868メートル)を見晴らせる。
 2階の集中管理センターは、奥州市内から宮城県境まで北上川の状況を35台のカメラでチェックする常時監視の拠点だ。一関遊水地の排水機場を一元管理する。
 8月、災害ボランティアの研修で訪れた一関市の中学3年松岡立樹(りゅうき)さん(15)は「雨に関する知識や水の怖さを学ぶことができた」と話した。交流館での学習を通じて水難の記憶は、若い世代へと引き継がれていく。


[メ モ] 2002年開館。地上3階、地下1階。年間来場者数は約1万5000人。入場無料。開館は午前9時〜午後5時。月曜休館。


関連ページ: 岩手 社会

2017年08月19日土曜日


先頭に戻る