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27年間 昼夜問わず1500遺体を検案 宮城の警察医に協力章

警察協力章を受章し喜びを語る宮下さん

 宮城県警古川署の警察医を長年務め、遺体の死因を特定する検案業務に尽力したとして、医師で永仁会病院(大崎市)の理事長宮下英士(えいし)さん(67)に7月、警察庁長官から警察協力章が授与された。27年間にわたり警察と共に遺体発見現場に出向き、約1500体に上る遺体を検案してきた。「一例一例積み重ねた結果。体が続く限り続けたい」と宮下さんは決意を新たにする。
 医学書が並ぶ理事長室の本棚から、死体検案書の書き方などを記した冊子を取り出す。国立保健医療科学院(埼玉県和光市)で毎年行われる研修の資料。「勉強は今も続けている。監察医務院がある東京と地方で状況は全く違う」と話す。
 1968年、福島県磐城高から東北大医学部に進学し、消化器外科を専攻。東北大病院を経て、88年に義父が経営していた今の病院に移った。
 「市医師会の当時の会長から『警察医をやってくれないか』と頼まれ、引き受けた。当時は何をするのか全く分からなかった」と苦笑いする。
 検案は、死因不明の遺体を調べ医学的な判断を下す業務。事件性が疑われる場合は司法解剖に回す。捜査の方向性を左右するだけに責任は重い。
 警察の呼び出しは昼夜を問わない。大変だが、警察医がいないと捜査は進まない。現場で脳脊髄液や血液を採取し、死因を調べる。
 どの遺体も丁寧に診てきた自負がある。ただ、検案は家族がいる自宅で行う場合が多く、「特に若い人の時はつらかった」と打ち明ける。
 負担が大きい警察医を長年続けるのは「医者としての視野が広がるから」。検案をすると亡くなった人の病歴が分かる。「入院させるべきではなかったか、と考えさせられる。病院の中にいては得られない貴重な経験だ」と言う。
 目下、警察医のなり手不足に頭を悩ませている。通常の診療との兼務を申し出る医師は少数派だ。「後継者は人脈に頼っているのが現状。どう養成するかが課題だ」と危機感もあらわにする。

[警察医]警察と共に死因不明の遺体を調べ、医学的に死因を判断する。異状がなければ死亡診断書に当たる死体検案書を作成。留置場に留置されている容疑者の健康診断も行う。原則、各警察署に1人いる。


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2017年08月21日月曜日


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