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<タリウム事件>あす控訴審初公判 責任能力と量刑が争点

 名古屋市で知人の高齢女性を殺害し、仙台市で同級生2人に劇物の硫酸タリウムを飲ませたとして、殺人や殺人未遂など6件の罪に問われ、名古屋地裁の裁判員裁判で無期懲役判決を受けた元名古屋大女子学生(21)=仙台市出身、事件当時未成年=の控訴審初公判が24日、名古屋高裁で開かれる。弁護側は精神障害を理由に改めて無罪を訴え、新たに量刑も争う見通し。高裁が無期懲役判決を維持するかが最大の焦点となる。
 弁護側は「個別の取材には対応しない」としたが、関係者によると、完全責任能力を認めた地裁判断の誤りを指摘する控訴理由書を提出。一審では「精神障害の影響は重大で、責任能力はなかった」と6件全ての無罪を主張した。
 地裁は今年3月の判決で、元名大生が広汎性発達障害と双極性障害(そううつ病)を抱え、犯行に与えた影響について「一定程度あったが限定的」と認定。「複数の重大かつ悪質な犯罪に及んでおり、罪は誠に重い」として、求刑通り無期懲役を言い渡した。
 地裁は判決後の説諭で「弁護側は心神喪失の主張にこだわり、量刑に関する主張がなく、全く無防備な状態だった」と弁護方針を批判。「有期刑に近い無期懲役」とも述べた。
 弁護側は被告人質問などを通じて量刑面の主張を補充するとみられ、控訴審は刑の重さが争点に加わる見通しだ。児童精神医学の識者に対する証人尋問も検討する。元名大生は「謝罪の意思はどの被害者に対してもあるが、謝罪や反省の方法がまだ分からない」と供述していた。
 一審では起訴前後に精神鑑定した医師3人が出廷し、弁護側の2人は「障害は重度で、善悪の判断基準がない」と証言。検察側医師は「障害の影響は限定的」と見解が分かれた。

[元名大生殺人・タリウム混入事件]名古屋地裁判決によると、仙台市内の私立高に通っていた2012年5〜7月、中学と高校の同級生男女2人に硫酸タリウムを飲ませ、殺害しようとした。14年12月には名古屋市昭和区の自宅アパートで知人の森外茂子(ともこ)さん=当時(77)=を殺害。6日後に帰省先の仙台市で青葉区の女性方に放火、住民3人の殺害を図った。地裁は17年3月、元名大生の完全責任能力を認めた上で求刑通り無期懲役の判決を言い渡した。弁護側が控訴した。


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2017年08月23日水曜日


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