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原子力規制委・田中俊一委員長に聞く「福島廃炉 東電は主体性を」

「東電は福島の地域住民ともっと向き合うべきだ」と語る田中委員長

 5年の任期を終え9月18日に退任する原子力規制委員会の田中俊一委員長(72)=福島市出身=は23日、河北新報社の単独インタビューに応じ、東京電力福島第1原発の廃炉について「東電にもっと住民と向き合う主体性がなければ進まない」と強調した。東北電力女川原発2号機(宮城県女川町、石巻市)の新規制基準への適合性審査に関しては「被災原発であり、耐震強度の問題を慎重に審査する必要がある」と指摘した。(聞き手は東京支社・小沢邦嘉)

◎女川審査、「耐震強度」慎重に

 −規制委発足の原点である福島第1原発の廃炉の現状をどう見る。
 「敷地外に(放射性物質の放出などの)リスクを広めない対策は達成できた。ただ、廃炉作業で出る廃棄物の保管などの問題は解決できていない。溶融燃料(デブリ)取り出しの方策も立たず、廃炉まで何十年かかるか見通せない。まだ初期段階だ」

 −東電経営陣の廃炉や福島復興に対する姿勢を問題視している。
 「廃炉に伴う汚染水処理や廃棄物の問題で影響を受けるのは地域住民だが、(6月に就任した)新経営陣は住民に向き合っていない。やるべきことを伝え、意見を交わす責任があるはずだ。事故で避難した住民が帰還するためには、賠償と除染だけでなく、雇用などの問題も考えるべきだ」

 −第1原発構内で浄化設備でも取り除けない放射性物質「トリチウム」を含む水がたまり続け、海洋放出を主張している。
 「海洋放出には漁業関係者の理解が必要で、東電が真剣に説明するしかない。今後の廃炉作業でもトリチウム水は大量に出る。処分の道筋をつけないと廃炉は進まない。信用の問題であり、東電トップが腹を割って話すしかない」

 −女川原発の審査をどう進める。
 「東日本大震災の被災原発であり、地震の影響をどう評価するか、苦労して審査している。慎重に進めなければならない。基準地震動(想定する最大の揺れの強さ)の議論はほぼ終えた。今後はプラントの耐震強度の問題などを見る。簡単には審査は終わらない」

 −東北電の東通原発(青森県東通村)の審査は、敷地内の断層の活動性の評価が焦点となっている。
 「断層の再評価を東北電に求めている。事業者が審査資料を準備しない限り、先には進めない」


2017年08月24日木曜日


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