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<北ミサイル>サンマ船安否確認に追われる漁協「無事を祈るしか…」

弾道ミサイル発射の知らせが、気仙沼市内湾地区の平穏な港町にも緊張をもたらした=29日正午ごろ

 北朝鮮による29日早朝の軍事的挑発行為で、東北地方に一時、緊張が走った。弾道ミサイルが着弾した北海道沖周辺では今、多くの漁船が操業する。街中で身の安全を確保するすべは限られる。「断固抗議する」「どう対処すればいいのか」。漁業者や市民の間には怒りと不安が広がった。

 宮城県漁協(石巻市)は北海道沖を航行する組合員のサンマ漁船約20隻の安否確認を急いだ。担当者は「対策のしようがない。無事を祈るだけだ」と唇をかむ。船のスピードではミサイルから逃げられないという。
 女川魚市場(宮城県女川町)は水揚げを約20分中断し、従業員らは屋内に退避した。市場の加藤実専務は「漁業者は船を出さないわけにはいかない。できる範囲のことをする」と語る。
 気仙沼漁港を30日に出港し、釧路沖でサバ漁をする茨城県神栖市の巻き網漁船「第78稲荷丸」の鈴木信一船長(66)は「警戒は日本海だけだと思っていた」と険しい表情を浮かべた。
 釜石漁業無線局(釜石市)によると、北海道東方沖で岩手県のサンマ漁船約20隻が操業。無線局職員の熊谷良一さん(43)は「ミサイルは漁船の頭上を飛んでいっただろう。今後は三陸沖に飛んでくる可能性があるかも」と心配する。サンマ漁船5隻を所有する鎌田水産(大船渡市)の鎌田仁社長(44)は「日本上空を飛んだら国は破壊措置を講じてほしい」と言う。
 青森県近海では、日本海側でイカ釣り漁船32隻、太平洋側でサンマ漁船など8隻が操業していた。鯵ケ沢町の漁師奈良義光さん(70)は「つがる市にある弾道ミサイル追尾用のXバンドレーダーを狙ってくるかもしれない」とみる。鯵ケ沢漁協の吉田勝則総務課長(58)は「今日はしけで漁に出る船がなくて良かった」と胸をなで下ろした。
 秋田県などによると、男鹿半島30〜40キロ沖合では、男鹿水産(男鹿市)のカニカゴ船1隻が航行。同社の菅原一社長は「ついに来たか。恐怖だ」と身構えた。
 ミサイル発射が相次ぐことに山形県漁協(酒田市)の西村盛参事は「漁業者が疲弊してしまう。いいかげんにしてほしい」と憤る。
 福島県は北海道沖で操業中の県内サンマ漁船6隻の安全を確認した。県漁連の野崎哲会長は「廃炉作業中の原発がある特別な地域。こんな事態が繰り返されては困る。コースや着弾場所をもう少し早く教えてもらえれば、もっと迅速に安全確認できる」と訴えた。


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2017年08月30日水曜日


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