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<台風10号豪雨1年>避難指針は半数以下 東北の高齢者施設、策定進まず

 東北6県の高齢者施設で「災害情報の入手方法」や「関係機関との連携体制」に踏み込んだ災害発生時の避難指針「非常災害対策計画」を策定しているのは半数以下にとどまることが29日、河北新報社の取材で分かった。国は6月、水害や土砂災害の危険箇所に立地する施設に2021年までの避難計画策定を義務付ける改正水防法を施行。各県も、施設に対し計画の早期策定や見直しを促している。

 東北の介護老人保健施設や通所介護施設の計画策定状況は表1の通り。岩手県岩泉町の高齢者グループホーム「楽(ら)ん楽(ら)ん」で入所者9人が犠牲になった昨年8月の台風10号豪雨を受け、厚生労働省が各県に調査を指示した。
 計画の策定自体は6割に達している。県別の策定率は山形(83.4%)が最も高く、宮城(72.9%)が続く。残る4県は50%台だった。
 一方、計画に盛り込むのが望ましい9項目(表2)を網羅した施設の割合は宮城が72.6%。山形の56.2%が続き、残る4県は30〜40%台にとどまった。
 宮城県長寿社会政策課は「東日本大震災、そして15年の関東・東北豪雨と自然災害が相次ぎ、施設の防災意識が高まったためではないか」とみる。
 台風10号豪雨で大きな被害に遭った岩手県は、水害や土砂災害の危険箇所に立地する高齢者施設限定で計画の策定状況を尋ねた。計画策定済みは、洪水浸水想定区域内にある269施設のうち198施設(73.6%)、土砂災害警戒区域内の149施設のうち106施設(71.1%)だった。
 岩泉町の「楽ん楽ん」は水害に備えた避難計画を策定していなかった。

<施設の努力必要/高橋誠一東北福祉大教授(高齢者福祉)の話>
 実効性の高い非常災害対策計画を策定するには自治体との連携も重要だが、何より高齢者施設自身の努力が欠かせない。
 地域住民と交流を深め、過去に起きた自然災害の被害規模を把握すれば避難経路の設定などに生かせる。施設同士で情報を共有し、計画を共同策定するのも有効だろう。
 避難開始までの流れは詳細に決めていても、避難後の対応が抜け落ちている計画も多いようだ。東日本大震災では、避難所で高齢者が体調を崩して亡くなるケースが相次いだ。立地条件によっては長期避難も想定した計画を策定し、避難訓練を実施する必要がある。


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2017年08月30日水曜日


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